ジャパンナレッジ
人工的につくられた偏光を取り出す板。自然光を入射したとき、透過光が直線偏光、円偏光、楕円(だえん)偏光になるものに分けられる。直線偏光を得るものでもっとも広く用いられているのは、互いに垂直方向に振動する光に対する吸収の異方性(二色性という)を利用し、一方の光を吸収してしまうものである。円偏光、楕円偏光を得るものは、入射光に対して直線偏光板、波長板がこの順に貼(は)り合わされた形になっている。ここでいう波長板とは、互いに垂直な二つの主軸方向に振動する直線偏光がこの板を通ったとき、二つの直線偏光の間に決められた値の光路差を生じるような厚さをもつものである。図に示すように、光路差が4分の1波長になる厚さdをもつ波長板(これを4分の1波長板という)を、その主軸が直線偏光の振動方向に対して45度をなすように配置すると、透過光は円偏光になる。図の組合せのものは、入射光の波長、波長板の厚さ、主軸方向を変えると、任意の楕円偏光をつくることができる。偏光板は、入射偏光の振動方向など偏光の特性を調べる検光子としても用いられ、ポーラロイドがよく知られている。
[田中俊一]