大西洋におけるマグロ類資源を持続可能な漁獲水準に維持することを目的とする、地域漁業管理機関。略称ICCAT(アイキャット)。対象となるマグロ、カツオ、カジキ類に関する調査を行い、総漁獲許容量(TAC:Total Allowable Catch)や国別漁獲割当ての設定などを行っている。1969年に発効した大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約に基づき、同年に設立された。本部はスペインのマドリード。日本、アメリカ、カナダ、ブラジル、中国、南アフリカ、ヨーロッパ連合(EU)など、51の国と地域が加盟している。日本の加盟は1967年(昭和42)。
クロマグロはもっとも高級なマグロ類とされ、刺身やすしなどに使われることから、日本ではその漁獲規制への関心が高い。ICCATでは1999年より漁獲規制を導入し、徐々に規制を強めてきた。2010年には減少傾向が著しいとして、翌2011年の東大西洋海域での総漁獲許容量を1万2900トンとし、かつての6万トンに比べ実質8割もの削減が実施された。そのため、クロマグロが食べられなくなるとの憶測が市場を飛び交ったが、その後、マグロの資源保護に取り組んだ結果、2017年には大西洋産を中心にクロマグロ資源の回復傾向が認められるとして、2018年の東大西洋・地中海の漁獲枠は2万8200トンと10年前の水準まで戻すことで合意され、2020年の3万6000トンまで段階的に増やすことが決まった。日本の総漁獲可能量の割当てについても、2017年の1930.88トンから2020年まで段階的に引き上げ、2801トンまで拡大される予定である。一方、日本の国内供給量の約6割を占める中西部太平洋産の資源回復は低水準のうえ、日本など各国で漁獲枠を超える違反が相次ぎ、厳しい資源管理を求められる状況が続いている。
[編集部]