使われていない住宅(空家)や土地(空地)の情報をインターネットで公開し、利用希望者に紹介する仕組み。人口減少に伴い、全国で増え続ける空家を減らし、有効活用して地域活性化につなげるねらいがある。空家や空地の所有者に物件情報を登録してもらい、専用サイトに物件の面積、間取り図、築年数、価格、最寄り駅、外観写真、付属設備、学校や病院などの周辺情報を掲載し、地方移住のほか、観光・イベント施設や民泊施設としての利用ももくろむ。地方自治体が運営する空き家バンクと、地方の情報を一元化した全国版空き家バンクがある。
空家の増加は、税収減、市街地の空洞化を招くほか、倒壊や火災の危険性が高まり、犯罪者や不審者の悪用、ごみ投棄、雑草放置などで治安、衛生、生活環境、景観なども悪化するおそれがある。総務省の2013年(平成25)調査では全国に空家は約820万戸あり、野村総合研究所は2033年に2166万戸まで増えると試算している。過疎が進む地方では、自治体が主導して1990年代からネットを介して空家を紹介する空き家バンクの利用が始まり、自治体が不動産団体などに委託するケースを含め、2017年には全国で763の自治体が空き家バンクを導入した。空き家バンクのなかには、所有者が不動産業者などに一定額を払って登録物件の管理を委託する例もある。ただ地方版空き家バンクは紹介する物件数が少なく、対象地域も限られるため、利用率が低いという難点があった。このため国は2015年、空家対策特別措置法(正式名「空家等対策の推進に関する特別措置法」平成26年法律第127号)を完全施行し、問題のある空家(特定空家等)の解体・撤去などを助言・指導・勧告・命令できるようにしたほか、2017年秋から全国共通の空き家バンクのサイト運用を開始した。民間不動産サービスのLIFULL(ライフル)とアットホームの2社へ運営を委託し、全国の空家情報を一つにまとめることで、地方ごとにばらばらであった表示形式、掲載項目などを統一し、使い勝手を向上させた。国は全国版の運営などで、2025年の空家(売却用などを除く)を400万戸程度に抑える目標を掲げている。
2018年7月20日