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固体が液体に変わる融解のおこる温度。一定圧力のもとでは一定温度でおこる。液体が固体に変わる温度、凝固点に等しい。厳密にいえば一定の圧力のもとで固体の融解が無限にゆっくりと行われて、固相と液相とが平衡を保っている温度である。融点は固体物質中での原子間あるいは分子間の結合力の強さの目安であり、一般に金属、酸化物、炭化物などは高い融点を有し、ファン・デル・ワールス結合結晶や有機化合物の融点は低い。一般に混合物の融点は純粋な物質のそれよりも低くなることが示されており、融点降下または凝固点降下(氷点降下)とよばれている。2種以上の成分からなる系の組成と融点の関係を表す図、すなわち融点図は合金などの平衡状態図の重要な部分をなしている。一般に合金などでは平衡を保って共存する固相と液相の組成が異なるので融点図は図の(1)のように二つの曲線よりなる。ここで液相と固相とが平衡を保つ温度を液相の組成に対して描いたものが液相線であり、固相の組成に対して描いたものが固相線である。両者は純粋成分となる両端において一致するが、図の(2)のように中間の組成でもう一度一致する場合もある。