日本大百科全書(ニッポニカ)

誤飲
ごいん

食物以外の物(異物)を誤って飲み込み、食道以下に達すること。誤飲による事故はとくに小児に多く、ときに命にかかわる事態に至ることもある。
 厚生労働省が2018年(平成30)2月に公表した「2016年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」によると、小児の誤飲事故の原因異物としてもっとも多く報告されたのは3年連続「タバコ」で、147件20.2%を占め、ついで「医薬品・医薬部外品」(108件、14.8%)、「プラスチック製品」(72件、9.9%)となっている。誤飲した年齢(月齢)は、6~11か月がもっとも多く213例(29.3%)、ついで12~17か月が130例(17.9%)、3~5歳が117例(16.1%)で、身の回りの物を分別なく口に入れるようになる6か月ごろから急増する。
 誤飲した異物が身体に与える影響として、タバコではニコチン中毒、医薬品や化学製品なども量や種類により中毒症状を呈することがある。ボタン電池などの誤飲では、放電や胃酸による金属腐食により消化管に潰瘍(かいよう)を生じることがあり、緊急を要する事態となる場合がある。
 誤飲が起こった際には異物に応じた対処が必要であり、一概にすぐに吐き出させるのが適切とは限らない。たとえば石油製品や漂白剤、マニュキアの除光液などは、無理に吐かせると食道や肺をかえって傷害することがあり危険である。また、タバコを誤って口に入れた場合には、水分が加わることでニコチンが吸収されやすくなるおそれがあることから、水分をとらずに医療機関を受診することが勧められる。
 誤飲予防としては、(1)口に入りそうなものを子供の手の届く場所に置かない、(2)紛らわしい物品の使い方をしない(ペットボトルやジュースの空き缶などを灰皿のかわりにするなど)、(3)口に入らないような安全に配慮された玩具(がんぐ)や家庭用品を使用することなどがあげられる。大人の親指と人差し指でつくった輪(OKサイン)を通るものは、子供の口に入りうるサイズの目安となる。また、日本家族計画協会では、小児の誤飲を防ぐために「誤飲チェッカー」(直径39ミリメートル、最大奥行き51ミリメートルの円筒)を作成し普及に努めており、このチェッカーの中に入るものは誤飲の恐れがあるものと考えるよう注意を呼びかけている。
 なお、誤飲は小児だけでなく、ときに成人でも起こり、その場合には義歯や医薬品が原因異物となりやすい。
[編集部]2018年12月13日