日本大百科全書(ニッポニカ)

爆弾
ばくだん
bomb 英語

一般には殺傷破壊用の爆発物、あるいは手榴(しゅりゅう)弾のような投擲(とうてき)爆発物をいうが、現在では主として航空機から投下する自由落下爆弾をさす。自由落下爆弾に対し、航空機から発射する誘導ミサイル、ロケットなど推進力をもつ爆弾は、スタンド・オフ兵器とよんで区別している。航空機用の爆弾として、第一次世界大戦初期には砲弾に安定用の尾翼をつけたものが使われたが、その後、流線型の弾体に十字形の四枚翼をつけたものとなり、第二次世界大戦では制動爆弾、親子爆弾など各種の型式、用途のものが使われ、最後には絶大な威力をもつ核爆弾が出現した。
 爆弾の種類には、陸上用、対艦船用、対潜用、特殊用などがあり、おのおのが核・非核、誘導・無誘導に分かれる。陸上用には対人殺傷用と堅固な構造物破壊用があって、対人用は比較的炸薬(さくやく)量が多く、弾片飛散の効果を得るために瞬発信管、または地上適当な高度で爆発させる近接信管を用い、落下傘をつける場合もある。また多数の小型爆弾を束にしたCBU(ボール爆弾等)も使われる。構造物破壊用には、貫徹力の大きい半遅動信管付きの爆弾が使われ、垂直に貫徹させるための制動尾翼付き爆弾や、滑走路破壊用の撒布(さんぷ)貫徹弾、地雷などもある。対艦船用には通常爆弾と徹甲爆弾とがあり、前者には半遅動信管をつけて軽装甲部の破壊を、後者は遅動信管付きで弾体が厚く比較的炸薬量の少ないもので、重装甲を貫徹して致命的損害を与えるのが目的である。
 対潜爆弾は水圧信管をもち、調定された深度で爆発する。また浮上している潜水艦に対して発射するロケット弾には、炸薬をまったくもたずに貫徹だけを目的とするものもある。特殊爆弾には焼夷(しょうい)弾、毒ガス弾、細菌弾、発煙弾、照明弾、時限弾などがある。焼夷弾は主として都市や物資集積場などの攻撃に使われるが、油脂焼夷弾の一種である火焔(かえん)弾(ナパーム弾)は、戦場における人員殺傷用にも使われる。空中に燃料を撒布して着火する燃料空気爆発弾(FAE)は、強大な圧力をつくって建物の破壊や広域の人員制圧に使う。誘導爆弾は、先端に誘導用センサーと操縦翼、尾端に安定フィンをもち、弾道の変更を可能にして、より高い命中精度を実現したもの。誘導方式にはテレビ、レーザー、赤外線がある。テレビ誘導は先端のテレビカメラの画像を記録してそれに向かう。レーザー誘導は、目標を爆弾投下母機かその他の機材でレーザー照射を行い、その反射波を促え続けて目標に向かう。このため命中するまで、目標をレーザー照射している必要がある。赤外線誘導は、センサーが目標と周囲の温度差を比較し、通常は温度の高いところに向かって落下する。近年では誘導装置の精度が高まって、きわめて高い命中率を記録するようになり、精密誘導爆弾ともよばれている。
 爆弾の大きさは用途によって数キログラムから数トンに及ぶ。通常の陸用、対艦船用には225キログラム、340キログラム、450キログラム、910キログラムの4種が使われ、CBU、ナパーム弾等にも大きさの異なるものがある。誘導爆弾は通常爆弾や徹甲弾に誘導装置を付加するのが普通で、これも各種がある。炸薬には一般にTNTを使い、破片弾で全重量の60%、徹甲弾で20%程度になる。核爆弾はプルトニウムなど核物質の分裂により、TNT火薬に換算して数キロトンから数百キロトンまでの爆発力をもつ。さらに核分裂弾の発する高温を引き金とし、熱核融合をする水素爆弾では、爆発力は数十メガトンにも達する。
 爆発力の大きい核爆弾は、戦略攻撃用に使用して威力があるが、戦術攻撃用としては破壊・被害の範囲が大きすぎて、実用しがたいという問題があり、その爆発力の制限と爆弾の小型化が図られている。非核爆弾と同様に使えて、一発で破壊・制圧の効果を得ることが目的である。
[青木謙知]

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