日本長期統計総覧「まえがき」
日本統計年鑑は,日本の統計を広範にまとめた総合統計書として,明治15年の第1回「統計年鑑」以来,昭和62年版まで既に96回刊行されてきているが,各回とも主として当該年の数値を掲載しているため,長期的に時系列統計を利用するにはかなりの努力が必要である。そこで日本統計協会では,総務庁統計局の全面的な協力を得て,明治以来の長期時系列統計を総合的に編集した「日本長期統計総覧」を刊行することとした。
本書は,我が国が近代化の道を歩み始めた明治元年(1868年)から現在に至る120年間の,人口,経済,社会,文化等あらゆる分野の統計の中から,できるだけ多くの主要項目を選び,また可能な限り過去にさかのぼって統一的に収集・整理して,総合的,体系的に収録したものである。
本書は全5巻から成り,第1巻には国土・人口関係,第2,3,4巻には経済関係,第5巻には社会・文化関係を主として収録している。また本書では,我が国の統計制度,各分野の統計体系・沿革を始め,個別の統計調査についても詳しく解説しており,それらの部分をまとめれば,我が国統計の総合的な解説書としても利用できるものと思われる。
日本の統計は明治以来,多くの変遷を経てきているので,それぞれを長期的な系列に整理してつなげることは大変な仕事である。そのため研究会を組織して検討を重ね,学者・専門家の方々の御意見も伺った。また関係各省庁の報告書を全面的に利用させていただくとともに,掲載の統計表についてもいろいろ御教示をいただいた。さらに一部には,他書のために編集加工された統計表の転載をお許しいただいた表もある。
これら多くの方々,なかんずく統計数字の収集から報告書の刊行に至るまでの間,絶大な御協力をいただいた総務庁統計局・統計センターの職員の方々に,厚く感謝の意を表する次第である。
なお,本書の編集は,なるべく原典に忠実に収録することを基本方針としているが,本書における統計表の編集,加工についての責任はすべて,我々の負うべきものである。
本書が,経済,統計の専門家のみならず,広く各界の方々のお役に立てば幸いである。
新版 日本長期統計総覧「まえがき」
日本統計協会が『日本長期統計総覧』を刊行してから20年が経過しました。幸い同書は明治以来の我が国の主要な統計を網羅し体系的に整備した基礎的な統計書として高い評価を得てきましたが、その後の時間の経過とともに、時系列の延長、新しい統計の収録に対する要望が高まってきました。
今回の長期時系列統計整備事業は、このような要望に応えるべく、先の『日本長期統計総覧』をベースとしつつ、現在の視点で新たな統計体系として整備することを目指し、平成13年10月に開始されたものであります。整備に当たっては、各分野の統計に精通した学識者による「新日本長期統計総覧編纂委員会」を組織して、体系の在り方、収録すべき統計などについて審議・検討を進めるとともに、当協会において原典資料の収集・吟味、統計表及び解説の作成などを行ってきました。その成果の一部は既に総務省統計局のホームページから『日本の長期統計系列』として一般に提供されています。本書はそれを基に時系列の近時点の延長など若干の補訂を加えています。
長期時系列統計は、経済社会の諸側面の現状分析のみならず将来動向分析にとって不可欠のものであり、また一面、我が国のあるいは地域の歴史を示すものでもあります。それだけに必要性は高く、最近各省庁が所管統計の時系列整備を進めるなど、情報処理機器の発達・普及も相まって整備の充実が図られています。
しかしながら、長期時系列統計の整備は、統計データの発掘、長期的なデータ定義・概念の変遷の整理、時系列の接続等、統計の専門知識に裏打ちされた多くのスタッフと長時間の作業が必要であり、現在のところ戦前のみならず、戦後系列の整備についてもまだまだの感があります。
当協会の整備は、幸いなことに、前回整備された「日本長期統計総覧」により基礎的部分が構築されており、このため、新たな統計系列を加えるなど、長期時系列統計集として充実したものとなっていると考えています。それでも、「新日本長期統計総覧編纂委員会」における多くの意見、提言の中に実現できなかったものも少なくありません。今後なお、こうした意見を踏まえつつ、持続的に整備を継続する必要性を感じています。
最後に、本書が広く頒布され、統計分析の有用な資料として活用されることを願うとともに、「新日本長期統計総覧編纂委員会」の委員として、また専門委員として整備事業に参加していただいた方々、さらに統計データの提供や助言を頂いた各省庁等の統計関係者に厚く御礼を申し上げます。