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現象学

ジャパンナレッジで閲覧できる『現象学』の文庫クセジュ・集英社世界文学大事典・世界大百科事典のサンプルページ

文庫クセジュ ベストセレクション

第一部 フッセル(1) > A 形相的なもの > I 心理主義的懐疑論
現象学15 / 130
文庫クセジュ374 ジャン=フランソワ・リオタール / 高橋 允昭
哲学・心理学・宗教
第一部 フッセル(1)
A 形相的なもの
I 心理主義的懐疑論
 フッセルは心理主義と戦った。心理主義が、認識の主観と心理学的な主観とを、同一視するからである。心理主義の主張によれば、《この壁は黄色である》という判断は、この判断を言い表わしこの壁を知覚する私から、独立した命題ではないという。これに対して、つぎのように言う人もあるだろう。「《壁》とか《黄色》とかいう概念は、外延においても内包においても、すべての具体的な思考から独立して、規定することのできる概念である。」その場合、主観や実在から超越した一つの自体的な存在を、こうした概念に認めなければならないであろうか? イデアの実在論(たとえばプラトンの実在論)においては、いろいろなが生ずるのは避けられず、解決することができない。けれども、少なくとも律を、ある主張(ここではプラトンの主張)の妥当性の基準として、認めるとすれば、具体的な思考に対する矛盾律の独立性を、肯定することになるのではないだろうか? こうしてわれわれは、論理のの問題、すなわち概念から、概念の構造の問題、すなわちへと移行する。しかし、心理主義はこの新しい場面においても、武装を解除しはしない。二つの反対命題は同時に真であることはできない、と論理学者が主張するとき、彼が言い表わしているのは、単に、意識の体験の次元において、この壁が黄色である緑色であると信じることは、私にとって事実上不可能であるということにすぎない。根本原理の妥当性は、私の心的機構に基盤をもつのである。そして、根本原理を証明することができないのは、根本原理が生れつきのものであるからにほかならない。明らかに、このことから結論として出てくることは、心理学的な歩みから独立したは、結局存在しないということである。なぜかといえば、心理学的な歩みが、まさにその真理に導いて行くのだからである。真なるものについての古典的な考えかたが要求するように、私の知識がその対象に即応しているかどうか、私はそれをどのようにして知ることができようか? こうした即応のしるしは、いったい何であるか? こうして、必然的にある種の《意識状態》が出てくる。この意識状態から見るとき、知識の対象となる当の対象についてのすべての問いは、なくもがなのものであり、つまりは主観的な確信であることになる。
(1) 原注 エトムント・フッセル。一八五九年、プロスニッツ(モラヴィア)のイスラエル系の家族の生まれ。ウィーンに出て学問の研究。一八八三年、数学論文『変分法の理論に関する考察』によって、学位を取得。彼の初期の著作は、数学の論理学および記号論理学に関するもので、そのうち『算術の哲学』は第一部のみが一八九一年に出版された。ついで一九〇〇年に『論理研究』第一巻が、翌一九〇一年に同第二巻が出版された。当時フッセルはハレ大学の教授の地位にあった。一九〇六年以来、彼はゲッティンゲンの熱気を帯びた雰囲気のなかで教鞭をとったが、この地で彼の最初の学説(『現象学の観念』一九〇七年発表)が形成されたのであった。『ロゴス』誌所載の有名な論文『厳密学としての哲学』(一九一一年)、および『純粋現象学および現象学的哲学のための考案』第一巻(一九一三年。生前は第一巻しか刊行されなかった)が発表されたのも、当時のことである。一九一六年から、フッセルはフライブルクの正教授の椅子についた。『内的時間意識の現象学のための講義』は、彼の門人マルティン・ハイデッガーによって、一九二八年に出版された。ついでフッセルは、『形式的および先験的論理学』(一九二九年)、『デカルト的省察』(フランス語版。一九三一年)、『ヨーロッパにおける学問の危機と先験的現象学』(一九三六年)、『経験と判断』(門弟ラントグレーベによって出版。一九三九年)をひきつづいて発表した。
 フッセルはナチス政権の圧迫のもとに、フライブルクの正教授の椅子を放棄しなければならなかった。彼は一九三八年に歿した。フライブルクでのフッセルの門人ヴァン・ブレーダ神父は、ヒットラーのユダヤ人排斥を懸念して、フッセルの蔵書と未発表の草稿を、彼が現在教授をつとめているルーヴァンへ、ひそかに移した。ルーヴァンに設置されているエトムント・フッセル文庫は、三万頁に及ぶ未発表の草稿(速記で書かれているものもしばしばある)を整理し、全集『フッセリアーナ』の刊行を続けている。これはハーグのマルティヌス・ニジョーフ社から出版されており、現在までに以下のものが刊行されている。『デカルト的省察』(未発表のドイツ語版)を含む第一巻、『現象学の観念』を含む第二巻、『純粋現象学および現象学的哲学のための考案』の第一、第二、第三巻(第二、第三巻はこれまで未発表のものである)をそれぞれ収載する第三、第四、第五巻、『ヨーロッパにおける学問の危機と先験的現象学』を含む第六巻。さらに第七巻と第八巻は一九二三年から二四年にわたる講義のためのノートを収載している。
 訳注 フッセルの著作名について、本書では以下の略称を使用する。『純粋現象学および現象学的哲学のための考案』第一巻は『イデーン』、『内的時間意識の現象学のための講義』は『内的時間』、『形式的および先験的論理学』は『先験論理』、『デカルト的省察』は『省察』、『ヨーロッパにおける学問の危機と先験的現象学』は『危機』。
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デジタル版 集英社世界文学大事典

現象学
[ドイツ]Phänomenologie,[英]phenomenology,[フランス]phénoménologie
フランス
現象および現象を認識する意識を記述することをめざす哲学的探究。現象学という用語は最初18世紀にランベルトによって形而上(けいじじよう)学の予備学としての「仮象の理論」として使われたが,カントは表象の諸関係の研究を指すためにこの用語を用い,さらにヘーゲルは感覚的経験から絶対知へと移行=生成する精神のそのつどでの現れ(=現象)を必然的順序において記述する作業を指すために用いた(『精神現象学』,1807)。20世紀初頭,今日的な意味における現象学を創始したのはフッサールである。フッサールは,意識の現象を客観的世界内部の出来事として説明する実証主義や心理主義をしりぞけて,主観に現れるままの意識現象の記述をめざす立場から出発する。私たちの日常生活は客観的世界の存在を無条件に前提し(「世界定立」),私たちの意識体験をもその世界内部の一事実とみなしている。フッサールによれば,自然科学も人間科学もこのような〈自然的態度〉の延長上に成立しているにすぎない。これに対して,このような〈自然的態度〉に徹底した反省を加え,〈世界定立〉を括弧に入れることによって,純粋な意識経験にかえり,その意識を客観的世界や世界内部の存在者の存在意味が形成される場として問うことがめざされる。この転換が〈現象学的還元〉である。〈現象学的還元〉によってえられる多様な意味形成の構造をフッサールは〈志向性〉のありかたに基づいて分析記述しようと試みる。学一般の新たな根拠づけがそのような〈意味〉のカテゴリーの回復をとおしてめざされることになる。また,後期のフッサールは,〈現象学的還元〉についての考えを修正して〈自然的態度〉を究極的なものとみなし,根源的な〈生活世界〉の意味の回復をめざすことになった。そして,そのような試みは,人間存在を「世界−内−存在」と規定し,その現象学的解明をもとめるハイデガーの「現象学的存在論」や,メルロ=ポンティなどに受け継がれることになる。
 現象学と文学との結びつきがはっきりとあらわれるのは,サルトルらの実存主義の文学においてである。「現象学的存在論の試み」として『存在と無』(1943)を書いたサルトルは,小説『嘔吐(おうと)』(38)においても,事物そのものや意識の存在を現象学的な手法によって描き出した。現象学は,人間の実存を,事物についての意識や他者の眼差(まなざ)しの問題としてテーマ化する方法として実存主義以降の文学の成立に大きな役割を果たすことになったのであり,クロード・シモンやアラン・ロブ=グリエヌーヴォー・ロマンの小説の実験も現象学的な試みとして理解することもできる。
 現象学はまた,20世紀における文学理論や批評理論の成立にも大きな役割を果たした。例えば,ヤコブソンに見られるように,ロシア・フォルマリズムやプラハ構造主義(プラハ言語学サークル)における〈形式〉や〈記号〉の概念の理論化は,ソシュール記号学と同時にフッサール現象学の〈志向性〉や〈表現〉の概念に多くを負っている。あるいはまた,フッサール現象学の強い影響下に芸術経験の多義性を芸術作品の志向的対象性のなかにあらわれる〈無規定箇所〉の概念によって説明したインガルデンは,ドイツ・コンスタンツ学派のイーザーらに代表される文学作品の受容や読書行為に関する〈受容美学〉に道を開いた。さらにまた,現象学の流れをくむ意識や想像力の理論は,フランス語圏において,プーレリシャールに代表される〈テーマ批評〉の潮流を生みだした。
(石田英敬)


世界大百科事典

現象学
げんしょうがく

18世紀に,ギリシア語のphainomenonとlogosの2語を結びつけて造語されたドイツ語Phänomenologieの訳語。この語ははじめ物理学の領域で,運動論の一部門--われわれの外感に現れるかぎりでの物質の運動を扱う部門--を指すために使われ,その後も19世紀末のマッハにいたるまで〈記述的物理学〉という意味合いで用いられていた。マッハの提唱した〈現象学的物理学〉は,原子とか原因・結果といった形而上学的な概念を排除し,感覚的経験に与えられる運動の直接的記述から出発して,それらの記述を相互に比較しながらしだいに抽象度の高い概念を構成してゆくというしかたで,物理学理論を根本的に組みかえることを企てるものであった。一方,物理学におけるこうした用法と並行して,狭義の哲学の領域においてもこの語は,当初は形而上学の予備学としての〈仮象〉の理論を指すために使われていたが(J.H.ランベルト,カント),やがてヘーゲルの《精神現象学》(1807)によって哲学史の表舞台に姿をあらわすことになる。ヘーゲルにあっては,現象学はもはや仮象の理論ではなく,感覚的経験から絶対知へと生成してゆく精神のそのつどの現れ(現象)をその必然的な順序において記述する作業を意味した。この語はさらにその後,20世紀の初頭にフッサールによってふたたび採りあげられ,彼自身の哲学的立場の表示として使われる。やがてこの立場がフッサールの直接間接の弟子たちによって受け継がれ,さらに日本,フランス,アメリカへと移植されて20世紀の主要な哲学的思潮の一つとなったため,今日では現象学といえば,フッサールにはじまるこの哲学的立場を指すのが通例である。以下の叙述でも,この意味での現象学に限定する。

現象学の成立

自然科学のめざましい展開にともなって,19世紀中葉には,自然科学の認識方法を無批判に人間的事象に適用しようとする悪しき意味での実証主義が支配的風潮となった。そしてそのもとで心理学,社会学,歴史学,言語学など人間諸科学が成立することになるのだが,やがて1890年代に入ると,これら諸科学の内部でも,また一般的な哲学の領域においても,そうした実証主義的風潮への反省ないし反逆がはじまる。哲学の領域では,新カント学派,ディルタイ,ベルグソン,クローチェらの哲学,アベナリウスやマッハの経験批判論がそれであるが,フッサールの現象学もそうした反実証主義の運動のなかから生まれてきたものである。ことに,フッサールが現象学という概念を直接継承するのはマッハからであるから,現象学と経験批判論はこの運動のなかで当初密接に結びついていたと見てよい。両者はいずれも,当時の精神物理学や生理学的心理学が意識現象(たとえば知覚)を客観的世界内部のできごととして客観的に〈説明〉しようとしたのに対して,あくまで主観に現れるがままの意識現象の〈記述〉を目ざしたのである。こうした〈記述的心理学〉としての出発時点においては,現象学は独墺学派のF.ブレンターノの思想と結びつくところもあったが,やがてフッサールは,おのれの現象学が単に心理学内部での改造の試みにとどまるものではないことを自覚するようになる。というのも,彼は当時の科学的心理学の根本的欠陥が〈客観的世界〉の存在を無条件に前提しているところ--彼はこれを〈世界定立〉と呼ぶ--にあると気づくのである。考えてみればこうした前提は,心理学に限らずすべての人間諸科学が自然科学からその基本的方法とともに受け継いだものであり,それらすべてに共通する根本的欠陥なのであるから,それを是正することは人間科学一般の改革,つまりは普遍的な知的革新の企てとなりうるはずだからである。もともとそうした世界定立をおこない,われわれの意識をも世界内部の一事実と見るのは,日常経験の積重ねのなかで形成された一種の思考習慣であり,実は自然科学も人間科学もこの世界定立を本領とする〈自然的態度〉の延長線上にあるにすぎない。フッサールは,そうした無反省な自然的態度をとりつづけることをやめ,おのれの意識体験を単なる世界内部の一事実と見る見方を停止した。そしてむしろ逆に意識を,そうした客観的世界の想定や,それとともに世界内部的存在者のさまざまな存在意味が形成される絶対的な場として,つまり〈純粋意識〉として見るように見方を転換し--この転換の操作が〈現象学的還元〉と呼ばれる--,そこに多様な意味形成体が成立する次第を分析的に記述しようとする。そうすることによって,実証主義的方法のゆえに当時行きづまっていた人間諸科学のうちに〈意味〉のカテゴリーを回復し,その抜本的改革を遂行しうると考えたのである。これが《純粋現象学および現象学的哲学のための諸構想》(第1巻,1913)で展開された構想であるが,やがて彼はこうした観念論的立場を放棄し,むしろ近代自然科学の客観化的認識作業によっておおわれてしまった,われわれの根源的な〈生活世界〉を回復し,そこから科学的客観化の意味を問いなおそうとする後期の〈生活世界の現象学〉へ移行する(《ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学》1936)。

現象学の展開

フッサールのこうした志向は弟子のM.シェーラーによって受け継がれ,1920年代には彼のもとで〈知識社会学〉や〈哲学的人間学〉の構想として結実する。シェーラーは当時進行中であった生物科学(生物学,生理学,心理学)の方法論的改革,ことにユクスキュルの〈環境世界理論〉を批判的に摂取し,人間が一個の生物でありながら,その生物学的環境を超えて人間独自の〈世界〉に開かれているありさまから人間を見てゆこうと企てたのである。同じフッサールの弟子ハイデッガーは《存在と時間》(1927)において,シェーラーのこの着想も採り入れながら,人間の基本的存在構造を〈世界内存在〉としてとらえ,そのようなあり方をする人間が世界や多様な世界内部的存在者ととり結ぶ能動的かつ受動的な関係の総体を解明し,さらにはその関係の根本的な転回の可能性をさえ模索する壮大な存在論を構想する。

 やがて1930年代に入り,ナチス政権のもとにドイツ哲学が圧殺されるころには,現象学はフランスに移植され,サルトルの《存在と無》(1943)やメルロー・ポンティの《行動の構造》(1942),《知覚の現象学》(1945)において新たな展開をとげる。サルトルのもとでは現象学は実存主義のための方法的手段にとどまるが,メルロー・ポンティはフッサールの後期思想やシェーラー,ハイデッガーの志向を正しく受け継ぎ,20世紀前半の知的革新において現象学の果たした大きな役割の決算書を提出した。現象学は第2次大戦中に亡命者によってアメリカにも伝えられ,第2次大戦後のアメリカ社会学(現象学的社会学),政治学の展開にも貢献している。現象学研究に関しては,日本もフランスやアメリカより長い歴史をもち,その影響下に九鬼周造《“いき”の構造》(1930),《偶然性の問題》(1935),三宅剛一《学の形成と自然的世界》(1940),市川浩《精神としての身体》(1975)のようなすぐれた成果を生んでいる。
→現象
[木田 元]

[索引語]
Phänomenologie マッハ,E. 現象学的物理学 ヘーゲル,G.W.F. 精神現象学 フッサール,E. 新カント学派 経験批判論 世界定立 現象学的還元 純粋現象学および現象学的哲学のための諸構想 シェーラー,M. ハイデッガー,M. 存在と時間 サルトル,J.P. メルロー・ポンティ,M. 九鬼周造 三宅剛一
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50. エゾテリスム思想 14ページ
文庫クセジュ
る態度である。それとは正反対に、エゾテリスム思想を思考の一形態、記述すべき諸傾向の総体として現象学的にアプローチすることにより、歴史的資料の歪曲を避けることがで
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