「カップ焼きそば現象」とは、もとのモノから派生した食品などが、別モノとして人気を獲得する現象のことだ。桜場コハルの漫画『みなみけ』に登場する、「焼きそばを食べたい時とカップ焼きそばを食べたい時は別の時」というくだりから広まった。もとはネットスラングといえるが、いろんな事象を説明するのに便利で、リアルの場でも耳にする機会があるようだ。

 たとえば、ソーセージと魚肉ソーセージ、インドなどのカレー料理とそこから独自の進化を遂げたカレーライスなど、食の分野では「カップ焼きそば」的な関係性が語られることが多い。カニの肉を模したカニカマなどは、いまや「surimi」の名前で世界的にも有名な食品だ。インスタントラーメンの例を持ち出すまでもなく、「似せてつくった→気がついたらもはや違う美味(うま)さになっていた」は、昔から日本のお家芸といえる。

 ちなみに「カップ焼きそば現象」は、アニメなどで「キャラクターデザインがそっくりだがよく見ると違う」という意味でもよく使われる。意図的か偶然かはさしおいて、人気キャラをめざそうとすると、表現のパターンは集約されるものらしい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
ジャパンナレッジとは 辞書・事典を中心にした知識源から知りたいことにいち早く到達するためのデータベースです。 収録辞書・事典80以上 総項目数480万以上 総文字数16億

ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。 (2024年5月時点)

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る