ジャパンナレッジ
新型コロナウイルス感染症の感染拡大から2年あまりが経過しました。各国でワクチン接種が加速し、社会生活を元に戻す動きが強まっていますが、接種が十分に進んでいない途上国も多く、格差がみられます。また、コロナ禍以前から始まっていた米中対立や、コロナ禍に伴う物流の混乱などによって、経済安全保障を各国が強く意識するようになり、サプライチェーンの強靭化とともに自国中心主義や友好国間の連携が強まっています。ロシアによるウクライナ侵攻は、経済制裁やその対抗措置によって、世界の政治的・経済的分断の傾向を強めており、国際秩序の歴史的な転換点となるとの声が上がっています。すでに、エネルギーや食糧価格が高騰して、経済や国民生活への影響が広がっています。
本書は、昭和2年(1927年)に矢野恒太*が発刊した統計データブック『日本国勢図会』に掲載していた国際統計を拡充して、昭和60年(1985年)より刊行を開始しました。矢野恒太は、統計による客観的な数字こそが、社会を理解する上で最も重要であると考え、その普及に努めました。その精神を受け継ぐ本書は、国際機関などの信頼性が高いと判断した統計データを出典に、広範な分野の統計を掲載いたしました。国際統計では国別比較が難しいものもありますが、本書が日本と世界のあらましを考察する一助となれば幸いです。
刊行にあたり、ご協力いただいた方々に深く感謝の意を表します。
*矢野恒太(やのつねた) 慶応1.12.2~昭和26.9.23(1866.1.18~1951.9.23)
第一生命保険の創立者。保険のみならず統計、公衆衛生、社会教育など各方面に功績があった。