日本大百科全書(ニッポニカ)

死者の書
ししゃのしょ

古代エジプト新王国時代(前1567ころ~前1085ころ)以降、棺の中のミイラとともに副葬された宗教文書。古王国時代のピラミッド・テキスト、中王国時代のコフィン・テキストと同系統のもので、パピルスの巻物や皮革に教訓や呪文(じゅもん)を図説とともに記したもの。エジプト学者バッジによって190章に分類されている。それは、神々への賛歌、死者の再生復活に必要な教え、死者を邪悪なものから守る呪文などから構成されている。なかでも有名なのは「罪の否定告白」とよばれる死者の裁判の図を描いた第125章で、来世で永遠の生命を受けることを信じた古代エジプト人の死生観を知るうえでの貴重な資料である。普通は注文に応じてつくられたが、葬具店でも販売されていた。
[吉村作治]