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5~6世紀代の古墳の墳丘に表飾として使用された石製象形遺物の総称。福岡県5、大分県2、熊本県9、鳥取県1の計17か所の古墳から発見されている。九州の発見例は阿蘇(あそ)系泥溶岩を使用して写実的に彫造されている。種類には人物(武装、裸体)、動物(馬、鶏、水鳥、猪(いのしし))、器財(靫(ゆき)、盾(たて)、刀、坩(つぼ)、蓋(きぬがさ)、翳(さしば)、腰掛)などのほか記録には「石殿」「石蔵」などもある。大分、福岡県では石人や石甲(せきこう)を1~2体立てるあり方が5世紀前半代にまず現れたが、6世紀の岩戸山(いわとやま)古墳では、多くの石製品を墳丘に立て並べている。しかし、磐井(いわい)の反乱後の6世紀中ごろには断絶してしまった。研究史上では中国南朝の王陵前に並べた石人・石獣の影響とされたこともあるが、現在では、畿内(きない)の古墳にみる象形埴輪(はにわ)に源流を求め、加工しやすい石材に恵まれた九州での創造であろうとされる。国・県重要文化財などに指定。