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硬骨魚綱スズキ目ハタ科ハナダイ亜科に属する海水魚。相模湾（さがみわん）、伊豆諸島以南、南西諸島、小笠原（おがさわら）諸島、鹿児島県の硫黄島（いおうじま）など西部・中部太平洋に広く分布する。体は細長く、著しく側扁（そくへん）する。頭は小さくて、前頭部はとがる。上顎（じょうがく）の後端は幅広で、丸くなり、目の後縁下に達する。上唇の前部は雄では雌よりも肥厚し、前方に突出して可動するため、ブタの鼻のように見える。目は比較的大きくて、後縁に小乳頭状の突起がある。両眼間隔幅は眼径より広く、盛り上がる。両顎歯はとがり、幅の狭い歯帯を形成し、外側の歯はより大きい。上下両顎の先端に1対（つい）の犬歯があり、上顎のものは前向きである。下顎の後方に1～2対の犬歯がある。鋤骨（じょこつ）（頭蓋（とうがい）床の最前端にある骨）と口蓋骨には小さい歯の幅狭い歯帯があるが、舌上には歯がない。前鰓蓋骨（ぜんさいがいこつ）の角は丸くて、上縁は細かい鋸歯（きょし）で、下縁は円滑。主鰓蓋骨に3本の棘（きょく）あり、間鰓蓋骨と下鰓蓋骨の縁辺は円滑。体は櫛鱗（しつりん）で覆われ、口唇、眼前部、喉部（こうぶ）には鱗（うろこ）がない。背びれと臀（しり）びれの基部に鱗鞘（りんしょう）（基底付近を覆う鱗）がある。背びれの棘部と軟条部の間に欠刻（切れ込み）がなく、棘は細くて第4棘がもっとも長い。背びれと臀びれの後部軟条は雄ではほかのひれより長く糸状に伸びる。胸びれは頭長よりすこし短い。雄の腹びれの第2軟条は糸状に伸びて、肛門（こうもん）に達する。尾びれは深く二叉（にさ）し、雄では両葉は糸状に長く伸びる。体は赤紫色で、雄では背びれの後方に大きな濃赤色の斑紋（はんもん）があり、尾びれの両葉が黄色になる個体もある。体長は12センチメートルになる。沿岸の岩礁やサンゴ礁域の水深1～60メートルに大きい群れをつくって生息する。追込み網などで漁獲される。