硬骨魚綱スズキ目ハタ科ハタ亜科ハナスズキ族に属する海水魚。駿河湾(するがわん)、土佐湾、沖縄、九州・パラオ海嶺(かいれい)、小笠原(おがさわら)諸島、朝鮮半島東岸南部の海域、ハワイ諸島など太平洋に分布する。体は細長く、背びれは8棘(きょく)12軟条で、主上顎骨(しゅじょうがくこつ)の後下端に下向きの棘があり、腹びれと体は膜でつながらないことが特徴のハタ類で、以前はハナスズキ亜科に入れられていた。体は側扁(そくへん)し、中央部でもっとも高い。尾柄(びへい)は著しく高く、強く側扁する。両鼻孔は広く離れ、前鼻孔は吻端(ふんたん)近くに位置する。両眼間隔域はわずかに凸形。口は大きく、主上顎骨の後縁は目の中央部下に達する。上下両顎には絨毛(じゅうもう)状の歯帯があり、犬歯はない。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)と口蓋骨にも絨毛状歯帯がある。主鰓蓋骨(しゅさいがいこつ)には3本の扁平な棘がある。前鰓蓋骨縁辺は丸くて、ほとんど円滑。側線は背びれの下方で緩く大きく湾曲する。鱗(うろこ)は小さく、櫛鱗(しつりん)。側線有孔鱗数は61~70枚。背びれは胸びれの基部よりも後方から始まり、棘部は浅くて広いくぼみで軟条部とつながる。背びれ第3棘は最長で、後方に向かって短くなる。臀(しり)びれは3棘8または9軟条で、第3棘が細長くて最長。胸びれと腹びれは肛門(こうもん)に達しない。尾びれの後縁はわずかに湾入する。体色は紅赤色で、腹部は淡い。体の上半部、背びれ軟条部および尾びれに瞳孔(どうこう)大またはそれより小さい暗赤色の円斑(えんはん)が散在する。背びれ、臀びれ、腹びれの縁辺部および尾びれの上下縁は黄色。尾びれの上下端は黒い。水深100~400メートルの沿岸の岩礁域や海嶺に生息し、体長25センチメートルあまりに達する。
本種はハナスズキ属に属するが、特徴的な円斑があることで、日本から知られている同属の他の10種と容易に区別できる。