ジャパンナレッジ
情操を育むことを目標にした教育。情操は、怒りや恐れ、喜び、悲しみなどのように、できごとへの反応として一時的に表れる、激しい動きのある感情を意味する情動とは異なる。
情操教育は、(1)知的好奇心を刺激し、学びの姿勢を育てる知的情操教育、(2)他者とのかかわりのなかで物事の善悪を判断する力を養う倫理的情操教育、(3)豊かな感情による想像力や創造性を養う表現美的情操教育、(4)人間の力を超えた物事の本質や原理に対する態度を育む宗教的情操教育に分類される。
2006年(平成18)に施行された現行の教育基本法第2条1項では、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」と定められている。学校教育では、道徳や音楽、美術(図画工作)などの教科を中心として、情操教育の実施が期待されてきた。情操教育は、想像力や表現力を出発点とし、個人のなかにある程度定着・残存しうる、多様な価値への感情や態度を育むものである。
情操は人格形成の基盤でもあり、個人としてのあり方が尊重されながらも、他者とのかかわりのなかで生きていくうえで必要な価値や態度に関係する。教科や学校教育のみならず、児童・生徒の情操が豊かに育まれるような社会空間が重要になる。