ジャパンナレッジ
教科ごとに決められた担当教員によって授業が行われる指導組織。これまで日本では、中学校・高等学校で教科担任制が採用されてきた。一方、小学校では学級担任が全教科を教える学級担任制が中心であり、一部で専科教員による授業が行われてきた。文部科学省より、全国の公立小学校の高学年において教科担任制を2022年(令和4)から導入する方針が示されたが、これは中学校や高等学校でいう教科担任制とは異なる。具体的には、学級担任制を維持しつつ、教科指導の専門性をもった教師による指導(外国語、理科、算数および体育)を増やすことを意図するものである。小学校の学級担任の担当時数軽減と深い教材研究に根ざしたきめ細かな指導、中学校の学びにつながる系統的な指導の充実を図ることがねらいとされている。一般に教科担任制には複数の教員による児童・生徒の多面的な実態把握も期待されており、小学校の学級担任にも他の教職員との情報共有を含めた協力関係を構築することが求められている。
なお、中学校、高等学校、中等教育学校の前期課程・後期課程、特別支援学校の中学部・高等部においては、相当の免許状を所有する者を教科担任として採用することができない場合に、校内の他の教科の教員免許状を所有する教諭等が、1年以内の期間に限り、免許外の教科の担任をすることを許可される制度がある(都道府県教育委員会への申請が必要)。ただし、高等学校の情報科をはじめとした一部の教科では免許外教科担任による指導が常態化しており、免許外教科担任制度の適正な運用が求められている。