硬骨魚綱ハダカイワシ目ソトオリイワシ科に属する海水魚。青森県、岩手県、九州西岸の海域、カムチャツカ半島沖からインドネシア、カリフォルニアからチリ、カリブ海、スリナム・フランス領ギアナ沖などの太平洋、インド洋、大西洋の赤道を挟んで南北にそれぞれおよそ40度の緯度の海域に分布する。体は延長して側扁(そくへん)する。頭は大きく、頭長は体長の約4分の1。目は非常に小さく、眼径は頭長の7分の1以下。口は大きく、主上顎骨(しゅじょうがくこつ)の後端は目の後縁下を越える。その骨の後部は幅広くなり、後端では截形(せっけい)(後縁が上下に直線状)で、その幅は眼径より大きい。上下両顎の歯は絨毛(じゅうもう)状で、鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に左右に分かれた2個の卵形の絨毛状の歯帯がある。口蓋骨部には歯がない。鱗(うろこ)は円鱗(えんりん)で、大きくて薄く、きわめてはがれやすい。発光器はない。背びれは10~13軟条、臀(しり)びれは11~14軟条。背びれは腹びれ起部の上方から始まる。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)は臀びれの基底(付け根の部分)後端の上方にある。体は一様に黒い。若魚は水深500~800メートルに、成魚になると水深1000~3400メートルにすむ。おもに小形の甲殻類を食べる。最大体長はおよそ20センチメートル。
ソトオリイワシ科には、日本からソトオリイワシ属と、クロゴイワシ属の2属が知られているが、本種が属するクロゴイワシ属には体側に発光器がないことでソトオリイワシ属と容易に区別できる。日本からの捕獲記録は少ない。