調剤薬局が保険診療の一環として患者に調剤などのサービスを提供した際に薬局に支払われる調剤報酬のなかで、技術的サービスの対価として支払われるもの。調剤基本料、薬剤調製料、各種加算料によって構成されている。
調剤基本料とは、薬局の規模や受け付ける処方箋(せん)の数、特定の医療機関からの処方箋集中率などの要素から区分が定められており、区分に応じて報酬額が点数として算出され、1点10円換算で保険者から薬局に支払われる。調剤基本料の区分は、調剤基本料1~3、および特別調剤基本料の計4区分がある。調剤基本料1は一般的な薬局に適用される。調剤基本料2は特定の医療機関からの処方箋比率が高い薬局(いわゆる門前薬局)に適用される。調剤基本料3は大規模チェーン薬局など処方箋受付数が多い薬局に適用される。特別調剤基本料は同一敷地内の医療機関からの処方箋を受けている薬局(いわゆる敷地内薬局)に対して適用される。基本的には、取り扱う処方箋数が多く、特定の医療機関からの処方箋率が高く、同一敷地内に設置されているなどの医療機関との関係性が強いと判断される、などの要素があると算定は低くなるため、報酬額は調剤基本料1>2>3>特別調剤基本料の順となっている。また、こうした区分とは別に、後発(ジェネリック)医薬品の調剤割合に基づく後発医薬品調剤体制加算、休日や夜間を含む24時間対応体制の整備といった地域支援体制加算などの加算制度もある。
薬剤調製料は、2022年(令和4)の調剤報酬改定において調剤料から独立する形で策定された項目であり、従来の調剤料に含まれていた服薬指導等の対人業務を切り分けて薬学管理料に組み込むことで、医薬品の調剤などの対物的な業務のみに対する報酬になった。薬剤の計量・混合、一包化、無菌調合などを含み、これら調剤にかかる手間などを反映して点数が算出される。
なお、調剤報酬を構成する他の要素には、薬学管理料(服薬指導、薬歴管理等)、薬剤料(薬等医薬品そのものの費用)、特定保険医療材料料(在宅医療等で用いる医療機器・衛生材料の費用)がある。