硬骨魚綱ヒメ目ミズウオ科に属する海水魚。北海道のオホーツク海、北海道から駿河(するが)湾にかけての太平洋、小笠原(おがさわら)諸島、東シナ海、ベーリング海、アラスカ湾、メキシコのバハ・カリフォルニア州沿岸など北太平洋に分布する。体は細長く、きわめて柔軟。頭部は側扁(そくへん)するが、体の後部は太くて、ほとんど円筒形で、腹びれ後方でもっとも高い。体長は体高の約12.5倍、頭長の約4.8倍。吻(ふん)は細長く鋭くとがり、横断面は三角形状。頭長は吻長の約1.8倍。口は大きく、上顎(じょうがく)の後端は眼窩(がんか)の後縁下に達する。上下両顎の先端はとがり、下顎は上顎よりも前方に突出する。下顎の先端に小さい突起物がある。口蓋骨(こうがいこつ)にやや前方に向かって生える大きくて鋭い歯をもつが、成熟個体では歯は退縮して脱落しやすい。鰓蓋(さいがい)は細長く後方に伸びて胸びれの起部に達する。鰓耙(さいは)はない。体には鱗(うろこ)がなく、円滑。背びれはないが、尾びれの前方に比較的大きい脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)がある。体の背中線の頭部から脂びれにかけて肉質の隆起線が走る。臀(しり)びれは14~17軟条、胸びれは13~16軟条、腹びれは9~10軟条からなる。体の背面は暗褐色で、体側面と腹面は銀白色で、頭部と各ひれは黒色。上下両顎の先端の内側、鰓膜、鰓腔(さいこう)(えらが入っている空所)および腹膜は黒い。最大体長は1.5メートルほどになる。水深約2000メートル以浅の表層~中深層の広水深帯にすみ、大きい個体は寒帯域に、小さい個体は温帯域に生息する傾向がみられる。おもに軟体動物、甲殻類などの無脊椎(むせきつい)動物や魚類を食べる。拡張性の大きい胃は体の半分以上もある大きい餌(えさ)をとることができる。一方、ビンナガ、ミズウオ、オヒョウ、スチールヘッド(降海型のニジマス)、マナガツオ、クジラなどに食べられている。肉は半透明で水っぽいので、食用にはならない。
本種は背びれがないことで、同じミズウオ科の他種と容易に区別できる。このことによりミズウオダマシ科Anotopteridaeとする研究者もいる。本種が属するミズウオダマシ属は世界に1種とされて学名にA. pharaoが使われていたが、1998年に魚類研究者のククエフEfim Izrailevich Kukuevが北太平洋に分布する種を別種にし、A. nikpariniの学名が与えられた。