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スペイン南部のアンダルシア地方の民俗舞踊と音楽の一形態。おもに同地方南部のロマ(かつてはジプシーとよばれた)により発展、継承されてきた。今日的なフラメンコの基礎が固められたのは、ロマの同地方定住がいちおう完了した18世紀のことである。
フラメンコは、舞踊のバイレ・フラメンコbaile f.と歌謡のカンテ・フラメンコcante f.、ギター・ソロのトケtoqueからなる。本来は、踊り手1人(または男女1組)、歌い手1人、ギター奏者1人で演奏されたが、近年ではさまざまな演奏形態がみられる。
カンテ・フラメンコの多くの曲種を、その性格から便宜的に分類すると次の5種になる。
(1)深遠で重い内容のカンテ・ホンドまたはカンテ・グランデ(ポロ、ソレアレス、シギリーリャなど)。
(2)陽気で軽快、大半が踊りを伴うカンテ・チコ(アレグリアス、ブレリアス、ファンダンギーリャなど)。
(3)上の二つの中間的存在であるカンテ・インテルメディオ(ティエント、マラゲーニャ、ペテネラなど)。
(4)カンタオール(歌い手)がフラメンコ以外のアンダルシア民謡などを自己のレパートリーに加えたもの(ミロンガ、ビト、タンギーリョ、ビリャンシーコなど)。
(5)宗教性の強いサエタ。このほかに、ソレアレス・ポル・ブレリアスなどのように、二つの曲種を結合した形式もある。
[アルバレス・ホセ]