日本大百科全書(ニッポニカ)

物価指数
ぶっかしすう
price index 英語

家計や企業などが購入、利用する財(商品)やサービスの価格変動を総合的にとらえ、基準時(比較の基準となる時点)を100とした指数によって表したもの。家計や企業が直面する物価動向を時系列的に観察し、あるいは地域間で比較するための指標である。さまざまな政策立案のため、または種々の経済指標から価格変動の影響を取り除くためのデフレーターとして用いられている。
 日本では、家計が購入する財やサービスの価格変動を総合的にとらえる消費者物価指数、企業が取引する財の価格変動をとらえる企業物価指数、企業が取引するサービスの価格変動をとらえる企業向けサービス価格指数が代表的な物価指数である。このほか、農業における投入・産出価格の動向を把握する農業物価指数、製造業における投入・産出価格の動向を把握する製造業部門別投入・産出価格指数などがある。
 指数は、財やサービスの価格系列を指数化し、それを加重平均することで算出されている。日本ではラスパイレス指数の考え方を用いている物価指数が多いが、国内総生産(GDP)関連のデフレーターのようにパーシェ指数の考え方を用いているものもある。物価指数の理論ではこのほか、「フィッシャーの理想算式」としてアメリカの経済・統計学者I・フィッシャーが提案したフィッシャー指数の考え方もあるが、日本の物価指数では貿易統計の輸出・輸入価格指数の計算や、算出手続を異にした二つの指数時系列の接合の際などに用いられるにとどまっている。
 一方、物価指数はある時点の財やサービスの価格を100としてそれを加重平均しているが、100とする年を基準時に固定する固定基準年方式と、指数を計算する年の前年を100として算出する連鎖方式がある。日本の物価指数は固定基準年方式が主流であったが、2004年(平成16)12月8日に公表された2004年7~9月期の四半期別GDP速報(国民経済計算のうち、GDPの支出側系列等に関する統計)の2次速報から連鎖方式のデフレーターが導入された。消費者物価指数や企業物価指数においても、参考指数として連鎖方式の物価指数が算出・公表されている。
[飯塚信夫]2019年2月18日