統計法に基づく基幹統計の一つである「家計統計」を作成するために行われる調査。総務省統計局が毎月調査を実施し、調査結果は月次、四半期、年ごとに集計・公表されている。家計に関する諸統計のなかでもっとも基本的なものと位置づけられている。家計収支の実態を把握し、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的としている。また、国内総生産(GDP)の推計や、消費者物価指数の購入割合(ウェイト)の算出にも用いられている。
調査対象は、施設等の世帯および学生の単身世帯を除いた全国の世帯(世帯人員が2人以上の世帯数は約8000、単身世帯数は約670)である。全国の全世帯から層化3段抽出法によって選んでいる。具体的には、第1段階では、全国の市町村をグループ(層)に分け、それぞれのグループから一つずつ合計168市町村を選ぶ。第2段階では、各市町村から調査地区(単位区)を無作為に選ぶ。第3段階では、調査地区内のすべての世帯のリストを調査員が作成し、そのなかから乱数表を用いて調査世帯を無作為に選んでいる。
調査は、基本的に対象世帯が「家計簿」を記入する形で実施する。家計調査では、調査対象の世帯を勤労者世帯、無職世帯(年金受給者など)、その他の世帯(個人営業世帯)の三つに分類しているが、勤労者世帯と無職世帯については日々の家計上の収入および支出を、その他の世帯については支出のみを調査している。
このほか、すべての調査世帯について世帯および世帯員の属性、住居の状態に関する事項などを「世帯票」により調査し、記入開始月を含む過去1年間の収入を「年間収入調査票」により調査している。また、世帯人員2人以上の世帯に対して、貯蓄・負債の保有状況および住宅などの土地建物の購入計画について「貯蓄等調査票」により調査している。
現在の家計調査は、第二次世界大戦後の1946年(昭和21)7月に始まった「消費者価格調査」から発展したものである。この調査は日々の買い物を対象にしていたが、1950年9月からは家計の収支両面を把握できるように改正し、1951年11月からは名称を「消費実態調査」と改めた。さらに、調査方法と費目分類を改正し、1953年4月から名称が現在の「家計調査」となった。さらに、1962年7月には、母集団地域を全国に、調査対象を168市町村、約8000世帯に拡大した。
1981年1月からは消費支出の5大費目分類を10大費目分類とした。1999年(平成11)7月からは農林漁家世帯を調査の対象に取り込み、2000年(平成12)1月から、それまでの「農林漁家世帯を除く」集計に加え、「農林漁家世帯を含む」集計も開始した。なお、農林漁家世帯の分類は2018年1月から廃止している。
2002年1月からは、単身世帯を含む約9000世帯に調査対象を拡大した。また、2人以上の世帯では、食料品の重量の調査を調査開始から1か月間のみ行う方法に変更するとともに、新たに前記の貯蓄等調査票による調査を開始した。これに伴い、単身世帯収支調査および貯蓄動向調査は廃止された。
経済構造の変化が大きくなるなかで、家計調査の改革が行われている。2001年10月からは、デジタル関連消費、高額消費の把握を目的に、家計調査を補完するものとして「家計消費状況調査」が始まった。2018年1月からは、年金受給世帯の増加など高齢化を反映して、世帯分類が現行の3分類になった。また、家計簿の様式をより記入しやすいものに改定したほか、オンライン回答も可能となった。
なお、家計調査は、第二次世界大戦前の1926年および1931~1941年にも内閣統計局によって実施されていたが、これは無作為標本抽出法による調査ではないため、戦後の家計調査の数字とは直接つながらない。
2019年3月20日