日本大百科全書(ニッポニカ)

子ども家庭支援センター
こどもかていしえんせんたー

地域の子育てを支援するための施設として全国で設置されている「児童家庭支援センター」(略称「児家セン(じかせん)」)のうち、東京都に設けられた施設の名称。通称、子家セン(こかせん)。1997年(平成9)の児童福祉法改正により第44条の2第1項に定められ、18歳までのすべての子どもと、子どもがいる家庭の支援を目的に、児童相談所(児相)よりも身近な相談窓口として、児童福祉施設に併設する形で全国に設置された。とくに児童虐待の防止や里親への支援など、児童相談所につなげる、あるいは児童相談所の役割を補う役目を期待されてスタートした。より幅広い子どもと子育ての支援を行う施設で、障害のある児童とその保護者に対する相談や適正な施設の紹介、虐待を受けた児童を児童相談所などで保護するための橋渡しはもちろん、広く一般の家庭の育児についてもさまざまな悩みを幅広く相談することができるようになっている。
 また、2016年(平成28)の児童福祉法改正により、東京都内では新宿区にある児童相談センターをはじめ都内11か所に設置されている児童相談所が特別区(23区)でも運営できることになり、いくつかの特別区では児童相談所の区移管の動きが出ている。たとえば港区では、2021年に子ども家庭支援センター、児童相談所、母子生活支援施設の複合施設として「子ども家庭総合支援センター」の設置を目ざしているが、それらの施設に対する市民の理解はまだ十分ではなく、住環境が悪化するのではないかといった懸念を抱く周辺住民による反対運動が起きて話題となった。
 これらの子育て支援センターの支援スタイルはさらに包括的なものになりつつある。政府が進める「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月2日閣議決定)では、子どもが生まれる前から支援を行うフィンランドの子育て支援制度にならった「ネウボラ」など、妊娠中の母親への支援を含む「子育て世代包括支援センター」を2020年度末までに全国に展開するとしている。子育てが「孤育(こそだ)て」ともいわれる現代において、悩みを抱える保護者が地域のなかで孤立することがないよう、子育て支援施設の役割はますます重要になっていくと考えられる。
[猪熊弘子]2019年3月20日