長い歴史をもつ兵器の一つ。地面の中に容器に入れた爆薬を埋め、踏んだ圧力やひもによる引力、電気による着火、金属に対する磁力、体温に感応するセンサーなどで発火爆発する。目的によって対戦車地雷、対人地雷、海岸に埋める水際地雷、浮遊地雷、落下傘部隊に対する対空挺(くうてい)地雷、鉄道地雷、科学地雷などのほか応急の材料で作った急造地雷や訓練用の訓練地雷などがある。味方の損害を伴わず、製造価も比較的安く敵を減殺する有力な兵器として用いられてきた。日本では「大坂夏の陣」で真田幸村(さなだゆきむら)が使ったとの記録もある。
信管と火薬を詰めた容器からなり、圧力や電気発火のほか震動、電波、音波、時計仕掛けなどで発火させる。埋めた地雷を見つけるには銃剣や棒で手探りするほか磁力や音波応用の地雷探知器あるいは爆弾や手榴弾(しゅりゅうだん)、砲弾による誘爆除去法もある。
現在用いられている型の地雷がはじめて使用されたのは南北戦争(1861~65)と伝えられる。その後、対戦車兵器として開発されていったが、1960年代のベトナム戦争のころから対人兵器として使用されるようになった。対人地雷は無制限、無差別に埋設され、終戦後もそのまま放置され周辺住民に終わりのない地雷被害をもたらしている。また、80~90年代のカンボジアやボスニア、アフリカ各地の内戦でも多用され、被害が続いている。これらの事情により、1983年、非人道的兵器を規制する「特定通常兵器の使用禁止条約」が発効した(通常戦力の規制の項目を参照)。これは地雷などを文民に対して無差別に使用することを禁じ、地雷原の記録を義務づけたものである。また、90年代の終わりにはイギリスのダイアナ元皇太子妃などが先頭にたち、地雷全廃への国際世論を呼び起こした。1997年、先進各国では人道的な立場から地雷を作らない、持たない、使わないの地雷廃絶の国際条約(対人地雷全面禁止条約)を調印、日本は1998年に加盟した。しかしコストが安く使用方法も簡単なため開発途上国や紛争地域の軍や保安グループではなお装備していることが多い。