核医学検査の一つで、骨組織に集まる性質をもつ放射性薬剤を静脈から投与した後、放射線を感知する特殊なカメラで撮像することで、全身の骨代謝の状況を調べる検査。薬剤が骨の代謝の盛んな部位に集まる性質を利用したもので、悪性腫瘍(しゅよう)(乳がんや前立腺(せん)がん、肺がんなど、さまざまながん)の骨転移の検出を目的に実施されることが多い。また、原発性骨腫瘍、X線検査で検出されにくい疲労骨折や微小骨折、急性骨髄炎の検出などにも用いられている。
国内で骨シンチグラフィに広く用いられている放射性薬剤は99mTc-MDPや99mTc-HMDPで、静脈から投与されたこれらの薬剤が骨に集積するメカニズムは完全には明らかにされていないが、骨を形成するハイドロキシアパタイトに化学的に吸着すると考えられている。投与2~4時間後には約30~40%が骨に集積し、50%以上は尿中へ排泄(はいせつ)される。そのため、撮像は薬剤投与後から2~3時間後に行われ、その直前には排尿が必要である(膀胱(ぼうこう)に薬剤が残っていると、その部分が過度に描出され、正確な画像が得られない)。
撮像は、カメラを備えた検査用ベッドに横になって行う。侵襲(痛みや苦痛)を伴う検査ではなく、体動を控えて横になっているのみで、通常は15~30分程度で終了する。
本検査で使用される放射性薬剤から放出される放射線はごく微量であり、胃のX線検査で浴びる放射線量と同程度とされる。また、体内の放射性物質は尿中に排泄されたり、体内で減衰して時間とともに速やかに消失することから、被曝(ひばく)による身体への影響は考慮する必要のないレベルである。
なお、骨シンチグラフィの断層撮影のことを骨SPECT(single photon emission computed tomography)とよび、より詳細に特定の部位を精査する必要がある際などに骨シンチグラフィ検査とあわせて行われることがある。その場合も、検査時間が多少延長されるのみで、検査に伴う侵襲や被曝量の増加はない。
2019年12月13日
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