1. 平中物語
日本大百科全書
平安時代の歌物語。作者不明。『貞文(さだふん)日記』『平中日記』ともいい、『平仲物語』とも書く。成立は『後撰(ごせん)集』と相前後し、950年(天暦4)ごろであ ...
2. 平中物語
世界大百科事典
たは孫保遠などが,父祖の名誉回復のために実作の和歌に基づいて歌物語を創作したのであろうか。《平中物語》にみる貞文の人間像は,きわめて気が弱く父母に従順で,女性の ...
3. へいちゅうものがたり【平中物語/平仲物語】
デジタル大辞泉
平安中期の歌物語。作者未詳。天徳3〜康保2年(959〜965)ごろまでの成立とされる。平中とよばれた平貞文を主人公とした、恋愛説話38段からなる。平中日記。貞文 ...
4. へいちゅうものがたり【平中物語・平仲物語】
日本国語大辞典
(「へいぢゅうものがたり」とも)歌物語。作者未詳。康保二年(九六五)頃までの成立か。平中とよばれた平貞文(定文)を主人公とした恋愛説話三八段からなる。家集の「貞 ...
5. へいちゅうものがたり【平中物語】
全文全訳古語辞典
[書名]『平仲日記』とも。平安中期の歌物語。成立には、九六〇年(天徳四)から九六五年(康保二)まで、または九二三年(延長元)以後の二説がある。一巻。作者未詳。風 ...
6. へいちゅうものがたり【平中物語】
国史大辞典
『日本古典文学大系』七七、『日本古典文学全集』八、『角川文庫』、『講談社学術文庫』四二七、目加田さくを『平中物語新講』その他に所収。 [参考文献]萩谷朴『平中全 ...
7. 平中物語
日本古典文学全集
主人公は、『古今集』、『後撰集』などに入集する実在の歌人・平貞文(たいらのさだふん)とされる。貞文は在原業平(ありわらのなりひら)と双璧の好き者(色好み)として ...
8. あいだ[あひだ]【間】
日本国語大辞典
あひだ)開(あ)けつつ貫(ぬ)ける緒も縛(くく)り寄すればまたも逢ふものを〈人麻呂歌集〉」*平中物語〔965頃〕二五「やうやう、朱雀(すざか)のあひだに、この車 ...
9. あい‐・みる[あひ:]【相見・逢見】
日本国語大辞典
いや二並(ふたなら)び 小豆島 いや二並び〈略〉吉備なる妹を 阿比瀰(アヒミ)つるもの」*平中物語〔965頃〕九「あひみてののちぞくやしさまさりけるつれなかり ...
10. あだ‐め・く【徒─・婀娜─】
日本国語大辞典
後、国司、郡司、勉(つと)め勗(つと)めよ。放逸(アタメク)こと為(す)ること勿(まな)」*平中物語〔965頃〕三五「そのこと、いとものはかなき空言を、あだめけ ...
11. あ‐な‐すえ[:すゑ]【足末】
日本国語大辞典
図書寮本訓)・歌謡「天万(あめよろつ)国万、押磐尊の御裔(みアナスヱ)の僕(やっこ)らま」*平中物語〔965頃〕一「同じ帝の母后の御あなすゑにて」 ...
12. あ‐・べし
日本国語大辞典
べし」の「ん」が表記されなかった形)あるだろう。あるはずだ。あるべきだ。→あべい・あべう。*平中物語〔965頃〕二七「いかがはあべき」*蜻蛉日記〔974頃〕下・ ...
13. あま に =削(そ)ぐ[=はさむ]
日本国語大辞典
で髪を切り揃えていたところから)女子の髪を尼(3)のようにする。あまそぎにする。あまそぐ。*平中物語〔965頃〕三八「いと長き髪をかきなでてあまにはさみつ」*能 ...
14. あや【文・紋・綾・絢】
日本国語大辞典
見て「香(にほひ)の渦輪、彩(アヤ)の嵐に」(3)物事の筋目。条理。理屈。理由。→あやない。*平中物語〔965頃〕二七「あなさがな。などて寝られざらむ。もし、あ ...
15. あゆみ‐よ・る【歩寄】
日本国語大辞典
〔自ラ五(四)〕(1)歩いて近寄る。互いに近づき合う。*平中物語〔965頃〕一七「かかりければ、この男、をかしきやうに思ひて、あゆみよりてあれば」*蜻蛉日記〔9 ...
16. あれ‐まさ・る【荒増】
日本国語大辞典
ひととせの風にたふれにしかば、あはれにこそ」(2)気持がますます荒れる。うるおいがいよいよなくなる。*平中物語〔965頃〕三三「とる袖のなつくばかりにみえばこそ ...
17. いい‐あわれが・る[いひあはれがる]【言哀】
日本国語大辞典
〔他ラ四〕語り合って感動する。感動して話す。*平中物語〔965頃〕三六「いといたう、おのがどち、いひあはれがりて」*建礼門院右京大夫集〔13C前〕「又これもりの ...
18. いい‐うら・む[いひ:]【言恨】
日本国語大辞典
〔他マ上二〕恨みごとを言う。恨んで言う。*平中物語〔965頃〕二五「この男、文をとらせで帰りし事、いみじくいひうらみければ」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「い ...
19. いい‐かよわ・す[いひかよはす]【言通】
日本国語大辞典
〔他サ四〕手紙のやりとりをする。*平中物語〔965頃〕一三「この男、夢ことあひて、見もえあはせで、言の通ひは時々いひかよはす人の車ぞ、来て、河原に立ちにける」* ...
20. いい‐すさ・ぶ[いひ:]【言荒・言遊】
日本国語大辞典
語り興じる。話が進む。*平中物語〔965頃〕二九「集まりて、いひすさびて、夜あけにければ、帰りにけり」(3)夢中になって言い寄る。熱心に思いを告げて近づく。*平 ...
21. いい‐そこな・う[いひそこなふ]【言損】
日本国語大辞典
〔他ワ五(ハ四)〕(1)まちがったことを言う。また、言ってはいけないこと、不適当なことを言う。言い損じる。*平中物語〔965頃〕二五「げにあやし、人や言ひそこな ...
22. いい‐ちら・す[いひ:]【言散】
日本国語大辞典
口にまかせていひちらすは、やがて浮きたることと聞ゆ」(2)言いふらす。うわさをまき散らす。*平中物語〔965頃〕二五「よになくあさましきことをつくり出だしつつい ...
23. いい‐つ・く[いひ:]【言付】
日本国語大辞典
*大和物語〔947〜957頃〕一〇三「さればその武蔵なむのちはかへりごとはして、いひつきにける」*平中物語〔965頃〕二二「あやしく、うれしくていひつきぬること ...
24. いい‐つた・える[いひつたへる]【言伝】
日本国語大辞典
ら、人のいひつたへん事は、いと聞きにくし」(3)ことばを取り次ぐ。伝言する。取り持ちする。*平中物語〔965頃〕二四「この男、入りにけり。常にものいひつたへさす ...
25. いい‐とど・む[いひ:]【言留】
日本国語大辞典
〔他マ下二〕(1)言って他人の動作をやめさせる。とどまるように言って引きとめる。また、呼びとめる。言いとむ。*平中物語〔965頃〕二五「車をかけむとしければ、こ ...
26. いい‐なぐさ・む[いひ:]【言慰】
日本国語大辞典
【一】〔他マ下二〕あれこれと言って人の気持を慰める。慰めのことばを言う。*平中物語〔965頃〕一「この男の友達ども集まり来て、いひなぐさめなどしければ、酒ら飲ま ...
27. いい‐はじ・める[いひ:]【言始】
日本国語大辞典
かけはじめる。異性を愛しはじめる。*後撰和歌集〔951〜953頃〕恋二・六〇六「人をいひはしめむとて」*平中物語〔965頃〕二七「からうじて、たよりをたづねても ...
28. いい‐びと[いひ:]【言人】
日本国語大辞典
〔名〕言う人。また、歌などを詠む人。よみびと。*平中物語〔965頃〕二五「この、いひ人さたけきうたをぬすみて」 ...
29. いい‐ふ・る[いひ:]【言触】
日本国語大辞典
〔他ラ下二〕(1)ことばをかける。話しかける。相談する。また、言い寄る。*平中物語〔965頃〕二二「はては、ものいひふれむ人もなかりければ、よろづのことばをひと ...
30. いい み 言(い)わずみ
日本国語大辞典
「…たり、…たり」の意を表わす接尾語)言ったり言わなかったり。言いよったり、言いよらなかったり。*平中物語〔965頃〕二「この男の、懲(こ)りずまに、いひみいは ...
31. いい‐や・む[いひ:]【言止】
日本国語大辞典
*大和物語〔947〜957頃〕御巫本附載「この男の、ものなどいひけるがいひやみにけるぞ、そが中にをりける」*平中物語〔965頃〕一一「まめやかに、似げなしといひ ...
32. いい‐わた・る[いひ:]【言渡】
日本国語大辞典
つくり、供養し奉らばやといひわたりければ」(2)男から女に、口頭または手紙で求愛する。言い寄る。*平中物語〔965頃〕一五「また、この男、ひさうしものいひわたる ...
33. いい‐わ・ぶ[いひ:]【言詫】
日本国語大辞典
〔他バ上二〕「いいわずらう(言煩)」に同じ。*平中物語〔965頃〕二二「よろづのことばをひとりごちけれど、さらに答へする人もなかりければ、いひわびてぞ出でて来に ...
34. いく‐ら【幾─】
日本国語大辞典
それらのはなはだしいことにも用いる。*落窪物語〔10C後〕一「四の君はいくら大きさに成り給ひぬる」*平中物語〔965頃〕五「君が思ひ今はいくらに分くればか我に残 ...
35. いさか・う[いさかふ]【叱】
日本国語大辞典
〔他ハ四〕しかる。責める。*平中物語〔965頃〕二四「さる間に、この女の親、けしきや見けむ、くぜち、まもり、いさかひて」*十訓抄〔1252〕七・徽宗皇帝事「客人 ...
36. いざ
日本国語大辞典
(こよひ)の雪に率(いざ)ぬれな明けむ朝(あした)に消(け)なば惜しけむ〈小治田東麻呂〉」*平中物語〔965頃〕二二「この女ども、『音にのみ聞きつるを』『いざ、 ...
37. いざ かし
日本国語大辞典
いらっしゃい、さあおいでなさい、いっしょにいきましょう、など、相手の行動をうながすことば。*平中物語〔965頃〕三五「憂きことよいかで聞かじと祓(はら)へつつ違 ...
38. いたつき【労・病】
日本国語大辞典
「いたづき」とも)(1)骨折り。苦労。*大和物語〔947〜957頃〕一四七「そのいたつき限りなし」*平中物語〔965頃〕一八「のちに聞きければ、いたつきもなく、 ...
39. いつわり‐やみ[いつはり:]【偽病】
日本国語大辞典
〔名〕病気のふりをすること。また、その病気。仮病(けびょう)。*平中物語〔965頃〕三六「いつはりやみして、とどまりなほしかりけれど」 ...
40. いで‐あ・う[:あふ]【出会・出逢】
日本国語大辞典
(イデヤウ)」(2)出くわす。めぐりあう。ばったりと会う。*平中物語〔965頃〕三〇「かれもこれも門(かど)よりいであひて」*紫式部日記〔1010頃か〕消息文 ...
41. いで‐はし・る【出走】
日本国語大辞典
べも無く苦しくあれば出波之利(いでハシリ)去ななと思へど子らに障(さや)りぬ〈山上憶良〉」*平中物語〔965頃〕二七「親聞きつけて、『いづこなりし盗人の鬼の、我 ...
42. いとおし・い[いとほしい]
日本国語大辞典
悩ますさまを表わす。(1)自分にとって面白くないと思う心情を表わす。つらい。困る。いやだ。*平中物語〔965頃〕二九「はかられにけりと、いとほしうて、この文にあ ...
43. いど・む【挑】
日本国語大辞典
〜36〕三・寄「叟の音、猴の声、又挑み、又謔す」(2)恋をしかける。言い寄る。関係を迫る。*平中物語〔965頃〕一「ながめゐたる間に、なまいどみて、ものなど言ふ ...
44. い‐ま・す【坐】
日本国語大辞典
大和物語〔947〜957頃〕一三五「男も宮仕へしたまうければ、え常にもいませざりけるころ」*平中物語〔965頃〕一「もろこしへもいませよとのたまふに」*宇津保物 ...
45. いま は 昔(むかし)
日本国語大辞典
に使われる慣用句。*竹取物語〔9C末〜10C初〕「いまはむかし、竹取の翁といふもの有けり」*平中物語〔965頃〕一「いまはむかし、男二人して、女ひとりをよばひけ ...
46. いり‐かわ・る[:かはる]【入替・入代】
日本国語大辞典
〔自ラ五(四)〕あるものの位置を他のものが占める。他と交替する。入れかわる。*平中物語〔965頃〕三四「このもとのをとこの女家にいりかはりけるを、みける人なんか ...
47. うかがい‐よ・る[うかがひ:]【窺寄・伺寄】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕何かにねらいをつけて、ひそかに近寄る。*平中物語〔965頃〕一七「とばかり帰らざりければ、あやしさに、みそかに草隠れにうかがひよりて」*松浦宮物語〔1 ...
48. 宇治拾遺物語 139ページ
日本古典文学全集
左兵衛佐(佐は次官)、三河権介。右中将の在原業平と並称される色好み。中古三十六歌仙の一人。『平中物語』の主人公。通称の平中(平仲とも)は父の好風の官職名に由来す ...
49. うじ‐は・つ【倦果】
日本国語大辞典
無表記)すっかり失望してしまう。すっかりいやになってしまう。すっかりあいそが尽きてしまう。*平中物語〔965頃〕一「その官召し空しうなりぬれば、思ひうじはてて、 ...
50. う‐・ず【倦】
日本国語大辞典
〔自サ変〕(「うんず」の「ん」の無表記)ふさぎこむ。がっかりする。いやになる。*平中物語〔965頃〕一七「男はかぎりなくうじてそのままにものも言はず」*源氏物語 ...