歴代最低の防衛相(第15代)と悪評しきりだったが、陸自の日報隠蔽問題(後述)で7月28日に辞任した。福井県越前市生まれ、58歳。早稲田大学在学中に司法試験に合格。弁護士。夫・稲田龍示も同大学出身で弁護士。
子どもができたのを機に弁護士を辞める。その後、南京事件に興味を持ち、東京日日新聞(現在の毎日新聞)が報じた「百人斬り競争」の記事で処刑された2人の軍人の遺族が毎日、朝日、本多勝一らを名誉棄損で訴えた弁護団の一員になる(最高裁で原告側の主張は棄却された)。
小泉純一郎が郵政解散する直前、自民党本部に招かれ「百人斬り競争はでっち上げ」という講演をした。それが聴講に来ていた安倍晋三幹事長代理の目にとまり、安倍から推薦を受けた小泉が、
郵政民営化法案に反対した候補の「刺客」として福井1区から出馬させ初当選。
父親の
椿原泰夫(つばきはら・やすお)は保守派の政治活動家で、その影響を受けているのか、稲田も超がつくほどの保守派政治家である。
当選後は、
安倍の“寵愛”を受け、順調に出世の階段をのぼり、当選3回にもかかわらず党三役である
政務調査会長に抜擢される。
当時、安倍首相から
「将来の総理候補」と持ち上げられ、昨年の第三次安倍政権の第二次改造内閣では防衛大臣に指名された。これには「総理になるためには重要閣僚経験が必要」という安倍の考えがあったとされる。
だが皮肉なことに、防衛の「ぼ」の字も知らない人間を防衛相にしたため、防衛省内はもちろんのこと、現場の自衛官からも彼女の一挙手一投足に批判が集まり、ついには辞任に追い込まれる。安倍首相も任命責任を問われ、支持率が急落して、一強と言われていた政権が
崩壊するかもしれない瀬戸際に立たされてしまったのである。
安倍政権が倒れれば、稲田は、君主の寵愛を受けて国を滅ぼした
傾城の美(?)女として名を留めるかもしれない。
なぜ、稲田のような女性を安倍が見込んだのか大きな謎である。南京大虐殺はなかった、東京裁判は国際法違反、靖国神社参拝など、安倍と共通する保守的な考えの持ち主であるが、それをひとまず置いたとしても、きわめて自己中心的で弁護士資格を持つ政治家とは思えない暴言・放言・失言の数々にはあきれ果てるしかない。
確かに、弁護士出身の政治家は多いし、なかには弁護士としてというよりも人間として首をかしげたくなる輩が多いことも事実である。
枝野幸男官房長官(当時)は福島第一原発事故後、「直ちに人体や健康に影響を及ぼす数値ではない」と記者会見で繰り返し、顰蹙(ひんしゅく)を買った。
高村正彦副総裁は加計(かけ)学園問題を追及する野党を「ゲスの勘繰り」と言った。極め付きは丸山和也参院議員である。オバマ大統領(当時)に対して、「いま、アメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ。はっきり言って」と言い放った。
『週刊現代』(8/12号、以下『現代』)は、自衛隊員たちが稲田をクビにするため
「猛爆撃」をしたと報じている。
日報問題について触れておこう。昨年7月に、PKO(国連平和維持活動)派遣部隊がいる
南スーダンで政府軍と反政府軍の大規模な武力衝突があった。
その際、PKO派遣部隊とその指揮にあたる中央即応集団の間でやり取りした文書の開示を求めたジャーナリストに、
防衛省は不存在を理由に不開示にした。だがその後、
統合幕僚監部に日報の電子データが保管されていることが判明した。
さらに
陸上自衛隊でも日報のデータが見つかっていたのに、隠蔽していたことが発覚した。だが、幹部会議の場で出す必要はないとされ、同席していた
稲田大臣も隠蔽を了承していたという報道が相次ぎ、稲田の責任を問う声が高まっていった。
陸自は独自に調査し、稲田大臣に非公表の了承を得ていたのに、すべてを陸自のせいにされたため、組織防衛を図った
陸自の関係者がマスコミにリークしたのではないかといわれている。
7月27日の朝刊各紙が「岡部陸幕長、辞任へ 日報問題で引責」と報じた。稲田は「報告を受けていない」としているが、そうした彼女の「詭弁」を陸自のトップが辞任することで、
ひっくり返したのである。
この問題に関する防衛監察本部の調査結果は7月28日に発表されたが、予想されたとおり、稲田が陸自の日報隠しに関与していたかどうかについては玉虫色にした。だが、私が推測するに、稲田を辞任させるという条件で官邸が取引したに違いない。
『現代』は、
岡部陸幕長の辞任表明は、日報隠蔽の責任を取ってというよりは、
稲田大臣に対する抗議の意味合いが強かったという。
自衛隊幹部はこう言っている。
「これまで稲田大臣にすべてを報告し、指示を仰いで進めていたのに、なぜ陸自ばかりが悪者になるのかという無念の思いで、特別監察報告の発表前に辞意を伝えたのです。日報に書かれていたように、南スーダンで死にかけた自衛隊員たちの心情が、稲田大臣はわかっているのかという無言の抗議です」
さらに、中堅幹部がこう言い添える。
「昨年8月に防衛相に就任直後、稲田大臣はアフリカ視察に出向いた際、ド派手なサングラスに野球帽という、自衛隊の常識では考えられないリゾートルックで現れました。さらに、『これから私が海外に出る時は、必ずショッピングの時間を取ってちょうだい』と大臣から注文されたのも前代未聞でした」
稲田大臣のクセまで読まれていたそうだ。
「大臣が髪をまとめて大臣席に座っている時は、本気で部下の説明を聞いていて、髪をバラしている時は他のことを考えていて上の空というクセを見抜きました」(中堅幹部)
日報問題に関して稲田は、「陸上自衛隊の内部でも保管しているという報告は受けていない」と弁明を続けたが、7月19日の共同通信のスクープで彼女の「ウソ」が明らかになる。
「今年2月15日に、稲田大臣以下、黒江哲郎防衛次官、豊田硬(かたし)官房長、岡部俊哉陸上幕僚長、湯浅悟郎陸幕副長らが緊急会議を開き、陸自データは隊員個人が収集したもので、公文書には当たらないとすることに決めた。
稲田防衛相は、
そのことを了承したという。このスクープは、内部から共同通信にリークされたに違いなかった」(『現代』)
さらにはFNN(フジテレビ系)が7月25日に、このときの会議で説明を受けた稲田防衛相は、
「明日なんて答えよう」と困惑していたと報じた。
その時の幹部たちのやりとりを記した詳細な手書きのメモまでが、メディアにリークされたのだ。
次々に内部から情報がメディアに流れたのは、「アメリカ軍が稲田大臣に“ダメ出し”したのが大きかった」(自衛隊幹部)という。
「昨年8月の就任直後、稲田大臣は横須賀基地を視察しましたが、マリンルック風のパンツスーツにハイヒール姿で現れた。そしてあろうことか、ハイヒールで潜水艦『こくりゅう』の甲板を闊歩しました。潜水艦はわずかな傷が致命傷となるため、海自の幹部たちはヒヤヒヤしながら見守り、この話がすぐアメリカ軍に流布したのです。
今年1月にトランプ政権が発足し、2月3日にマティス国防長官が来日した時も、稲田防衛相主催の晩餐会で、マティス長官はムッとして押し黙ってしまった。一つには稲田大臣が、あまりに防衛問題に無知だったからで、もう一つは稲田氏が、派手なパーティールックで現れたからです。
独身主義者で厳格な軍人であるマティス長官には、稲田大臣が耐えがたく映った。そこで急遽、安倍首相が助っ人に現れて、何とかその場を取りつくろったのです」(同)
その翌週にフロリダ州の別荘を訪問した安倍首相に対して、トランプ大統領は、ズバリこう告げたという。
「マティスから報告を受けたが、
役に立たない女性防衛大臣は、いつクビにするつもりなんだ? 日本の内政に干渉するつもりはないが、同盟国として看過できないこともある」
アメリカに見放されては防衛大臣失格である。だがなぜか安倍はまだ稲田を使い続け、ほころびは広がり続ける。
3月に入ると、森友学園問題で、弁護士時代の稲田が、
森友側代理人として法廷に立っていたことが発覚し、稲田スキャンダルに火がついた。防衛省中堅幹部がこう明かす。
「この時、防衛省には
全国から批判の電話が殺到し、通常の業務に支障が出るほどでした。防衛とはまったく無関係な(森友)問題で、なぜこんな目に遭わなくてはならないのかと、われわれは怒り心頭だったのです」
この森友問題で稲田防衛相が国会で初めて謝罪した翌日の3月15日、
陸自内部での日報データの保管が発覚した。NHKにリークされたのだ。
だが、翌16日の国会で稲田防衛相は、
「陸自では報告されていない」と強弁しているのだ。
結局、5月27日に南スーダンのPKO部隊は、
全員が帰国したのだ。
「6月初旬には、シンガポールで各国の防衛相が集まるアジア安全保障会議が開かれましたが、稲田防衛相は再び、モデル風のファッションで現れました。しかも日本国防衛大臣としての演説で、自分のことを
『グッド・ルッキング』(容姿が美しい)と自賛したのです。会場は大顰蹙でした」(中堅幹部)
スキャンダルはまだまだ終わらない。6月27日、東京都議選の応援演説に入った稲田防衛相が、
「防衛省・自衛隊、防衛相としてもお願いしたい」と言ったのである。
このときの防衛省への抗議電話は、3月の比ではなかったという。
「自衛隊は、長年にわたって『憲法違反の存在』などと世間から白い目で見られてきました。それを地道に災害救助などに尽力し、ようやく防衛庁から防衛省に昇格。いまは日々、25万の隊員が国境防衛などに神経を擦り減らしています。
そうした自衛隊六十数年の努力を、あろうことか
防衛大臣がたった一言で台無しにしたに等しいのだから、今度こそ許しがたい思いでした」(中堅幹部)
自衛隊幹部がさらに続ける。
「マスコミに、われわれが大臣の立場を危うくする内部情報をリークしたとして、文民統制が利いていないとのお叱りを受けていることは承知しています。しかしアメリカと北朝鮮の水面下の対立は激しさを増す一方で、『21世紀のキューバ危機』とも言える状況になりつつあるのです。そんな時に、
大臣が稲田さんでは、国が滅んでしまうというのが、われわれの共通認識でした」
21世紀のキューバ危機とはどのようなものか。
7月4日、北朝鮮がアメリカ本土に届くICBM (大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功したといわれている。
トランプ政権は、ICBM実験と6回目の核実験が「レッドライン」と言ってきた。
そのレッドラインを超えたとトランプ大統領が思えば、それへの強力な対抗手段が、4月6日にシリア政府軍に対して行なったような空爆を意味することは明白である。
トランプ大統領は7月7日の午後、G20首脳会議を抜け出して、プーチン大統領に、
8月15日に北朝鮮を空爆すると告げたという。
仰天した
プーチン大統領は、「冷静になってくれ」と言って、翌8日のG20首脳ランチ・ミーティングの際にも、再び
トランプ大統領に必死で思いとどまるよう説得したそうだ。また習近平主席との首脳会談でも、
空爆を主張するトランプを習がなだめるという光景が見られたというのである。
こうした抜き差しならない状況を受けて、安倍首相は、G20を終えて7月11日にヨーロッパから帰国すると、13日に、官邸に主な外交・防衛関係者たちを呼んで、迫りくる北朝鮮危機に至急、対応策を取るように指示した。
ただし、稲田防衛相だけは、蚊帳の外に置かれたそうである。稲田防衛相が首相官邸に入ったのは、閣議の時だけだった。
かくして、8月3日の内閣改造を待たず稲田に辞任を迫ったのは、安倍首相自らだったといわれる。愚かな首相が、愚か過ぎた大臣を切ったのだが、
時すでに遅しである。否、反安倍派から言わせると、よくやったぞ稲田ということになるのかもしれない。
どちらにしても、稲田という防衛相が防衛省の歴史の中に大きな汚点となって残るのは間違いない。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
女性が輝き活躍する時代というのは、男にとってどうなのだろう。このところ
話題の中心は女性ばかりである。仕事でも不倫でもSEXでも、女性がリードして男はそれに付き従う。考えてみれば原始以来、女性はずっと太陽で、男はその陰に隠れている月のような存在だったのであろう。やはり野に置け月見草。なんのこっちゃ。
第1位「『今井絵理子参議院議員』の略奪不倫」(『週刊新潮』8/3号)
第2位「年金は75歳までもらえなくなる」(『週刊ポスト』8/11号)
第3位「妻たちの投稿サイト『だんなデスノート』が震えるほど恐ろしい」(『週刊現代』8/12号)
第3位。
夫の悪口を書き散らす「だんなデスノート」というのがあるそうだ。
サイトの管理者は「死神」こと牧田幸一朗氏。
こんなものすごいことが書き込まれていると『現代』が報じている。
「毎日、警察からの電話を楽しみにしているんだから。死ねーーーーーーーーーーーーーー 死体で帰って来い!死体で帰って来い! 赤飯炊いてやるから! 今日こそ帰ってくるな!」(すべて原文ママ)
「わたしの人生最大の喜びはアイツの無様な屍を前に大笑いしながら家族とハイタッチする事です」
「同じ墓に入るのも嫌だわ! お前が先に死んだら死後離婚して、お前の身内全てと縁をきってやる。さぁ早く死ね!」
「朝起きたらクソヤロウが冷たく死んでますように」
セックスについてもボロクソ。
「エッチしても入れても入れなくても分からないような小さな粗末なモノも退化していくだろう。みこすり半とはお前のことだよ。テクニックも何もない小学生以下のエッチのくせに、一丁前に要求してくる」
これがカミさんたちの本音なのだろうか。まあ、亭主のほうも同じようなことを考えているのだからお相子か。くれぐれも本人の前では言わないように。
第2位。さて、高齢者の医療や介護、年金問題を『ポスト』はよく取り上げる。今週も巻頭で、
「年金は75歳までもらえなくなる」と、政府と役人の“陰謀”を報じている。
閉会中審査でメディアが大騒ぎしていた7月18日、内閣府の有識者会議で「年金75歳支給」という重要な議論が交わされていたという。
そこで読売新聞の社会保障部の猪熊律子委員が、
繰り下げ年齢を現行の70歳から75歳に延ばしてもいいのではないかと発言したというのである。
どういうつもりでこんなバカな発言をしたのであろう。ふざけるなである。
もちろん『ポスト』も、こんなやり方は「悪夢以外の何物でもない」と難じている。
だが、財務官僚が、こう本音をばらしている。
「安倍政権の一億総活躍社会とは、本来、高齢者に元気で働いてもらって年金や医療費の国庫負担を抑え、女性の社会進出を促すことで年金と健康保険の担い手になってもらう財政政策だ。それを政治的には国民の批判を招かないように女性が輝く社会、誰もが活躍できる一億総活躍社会と言葉を飾っていた」
安倍と官僚は、日本人を75歳まで働かせ、これから年金というときにコロッと死んでくれれば万々歳と考えているのだ。
『ポスト』によれば、
75歳まで支給引き上げなら2655万円ももらえなくなると試算している。
年金制度は早晩破たんする。もらえるときはもらっておかないとバカを見る。65歳からもらおう運動でも起こすしかない。
年金、医療費、介護保険は間違いなく今のままでいけば破たんする。安倍の口車に乗ってはいけない。それだけははっきりしている。
第1位。安倍首相の「女性が輝く社会」をつくるという掛け声は、安倍の言っている本来の意味とは違うが、一足早くそうした社会が実現したようではある。
稲田朋美、小池百合子、豊田真由子、松居一代と、このところ輝いているのは女ばかりだ。
そこに今週は
元SPEEDで参議院議員の今井絵理子(33)が加わった。
今井は2004年に結婚して長男をもうけたが、3年後に離婚。長男は生後3日で聴覚障害があることがわかった。
その子を女手一つで育て、昨夏の参院選ではそうした生き方に共感が集まり
32万票を獲得した。彼女の地元は沖縄だが、当選直後に沖縄の基地問題について聞かれ、「これから勉強します」と答え話題を呼んだ。
子育てに議員活動にと、さぞかし忙しいことだろうと『新潮』が張り込んだら、豈図らんや多忙は多忙でも
「不倫」に励んでいたというのである。
7月14日(金)。国会付近で夕食を終えた今井は、19時ごろ迎えの車で千代田区三番町のセカンドハウスとして使っている高級賃貸マンションへ。その直後に神戸ナンバーの日産GT-Rがやって来て、今井を乗せて走り去り、「日付をまたぐまで帰ってくることはなかった」(『新潮』)
翌朝7時。件の男が今井のマンションから出てくる。その10分後、今井が迎えの車に秘書と同乗して東京駅へ。
その後、7時40分発の新幹線のグリーン車内に彼氏と並んで座る今井の姿が。2時間後、2人はそろって眠りだしたが、「下に伸ばしたその手はお互いしっかりと握り合っていた」(同)。この様子はグラビアに載っているが、『新潮』がつけた見出しが
「愛の闇」。
新大阪駅で今井は降り、イベントをこなした彼女は、大阪府内のシティホテルにチェックイン。
20時半ぐらいに、ホテルに備えつけの白いパジャマ姿で出てきた。この姿もグラビアに出ているが、髪が濡れたパジャマ姿がなかなか色っぽい。
男を迎えに行って、同じ部屋に消えていった。翌日も2人して新幹線に乗り込んで、14時には東京駅に2人の姿があった。
今井は子どもがいるが独身である。まだまだ熱い恋に身を焦がしてもとやかく言われることはない。だが、相手が妻子持ちとなると、当然ながらいかがなものかとなる。
この男、橋本健という自民党の神戸市議会議員で37歳。10年前、27歳の若さで市議に当選して現在3期目。市議団の幹事長も務め、大阪大学歯学部卒で、5年前に歯科医院を開業しているという。
将来は衆議院議員を目指していると言われているそうだ。子どもは2人いるが、現在妻とは別居中で、4~5年前から離婚調停中だそうだ。
『新潮』によれば、きっかけは、今井が参院選に出馬を発表したころ、自民党の兵庫県連が勉強会に今井を呼び、その窓口が橋本だった。
2人は急速に親しくなっていったという。このまま略奪愛が成就するのか。だが、『新潮』は、彼女は言行不一致だとなじる。
彼女のウリは「子育て」だ。議員になってからは忙しさも増し、息子と触れ合う機会は減ったに違いない。ならば、わずかな時間でも子どもといてやろうというのが人情ではないか。
しかし、いまの今井は男に夢中で、子どものことは母親に任せることが増えているというのである。
さあ、今井はなんと言い訳するのだろう。橋本のほうは、
「今井さんとはお付き合いをしていません。恋愛感情もありませんよ」とにべもない。
『新潮』ならずとも、このセンセイは恋愛感情もない人間と、手をつないだり、同宿したりするのかと首をかしげたくなる。
今井センセイは、橋本と交際しているかと聞かれ、
「男女の関係はありません。同じ志を持った、大変頼もしい先生だと感謝しています」
三番町のマンションや大阪のホテルに泊まっているではないか?
「あの……三番町は軽率なことだと思いますが、とにかくこれだけはお伝えしたいのは、
一線は越えていないんです。翌日の箕面でのお仕事、実は橋本先生の紹介でいただいたお仕事だったんです。その時に講演内容を一緒に考えてほしい、という思いで、結局、深夜まで一緒に原稿を書いていたんです」
下手な言い訳である。昔、あるタレントが彼女の部屋に泊まって朝帰りした時、写真誌に直撃された。そこでとっさに、
「彼女の部屋で一晩中あっち向いてホイをやってました」
と答えた。これには笑った。たしかにSEXはあっち向いてホイに似てなくはない。
これぐらいのユーモアが欲しかった。
橋本の妻は、かえって今井のことをこう心配する。
「私は今井さんのお子さんも心配。お母さんは家にいなくて、不倫をしていると知ったら。育児のこと、家族のことを語って、それなのに……」
今井と橋本はそれぞれ「弁明」をしているが、そこから今年の流行語大賞候補が飛び出した。「一線を越えてない」がそれだ。
『新潮』に「略奪不倫」と書かれ、妻子持ちの橋本神戸市議との動かぬ「お泊り愛」の証拠写真を公開された2人は、好意を持っていることは事実、2人で泊まったことも事実だが、講演の打ち合わせのために原稿を書いていただけで、「一線は越えていない」と白を切った。
フランク・キャプラ監督の名作『或る夜の出来事』に、こんな場面がある。新聞記者クラーク・ゲーブルと富豪の令嬢クローデット・コルベールが、ひょんなことから安宿に泊まることになる。
不安がる令嬢に、ゲーブルは部屋の真ん中にロープを張って、コルベールにそこから中へは入らないと宣言する。今井と橋本はこの映画を真似たのだろうか。
そんな粋な2人ではなさそうだ。SEXはしましたが、奥さんを離縁して私と早く結婚してとは言わなかった、それが私たちが守っている「一線」だと言えばいいのに。
神戸新聞NEXT(7月26日付)は
「神戸市議、政活費で今井絵理子氏“応援” 自民市議団返還へ」と報じている。議員としての一線を越えてしまった橋本は辞任に追い込まれるのではないか。