現在、世界各国で開発が進められている携帯電話などの新たな通信方式(規格)。

 スマートフォンなどに使われている現在の方式に比べて、通信速度は100倍。通信容量は1000倍に高まるとされる。例えばDVD画質の2時間の映画をネットでダウンロードする際、現行のLTEという方式なら、5分程度かかるが、これが5Gだと数秒で済む、といった具合だ。日本では、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年を目途にサービスが始まる予定だ。

 あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT」の普及が進んでいるが、これに5Gが加われば、可能になるサービス、用途は広がるだろう。我々の暮らしや働き方もずいぶんと変わるはずだ。

 例えば土木現場。ブルドーザーなど建機(建設機械)に搭載したカメラで現場を撮影し、遠く離れたオフィスでその映像を見ながら作業員が建機を操縦する。正確な位置情報は日本版GPSで入手できる。

 テロ対策で言えば、監視カメラや空中のドローンに搭載したカメラのデータを5G経由で解析センターに送り、テロリストの怪しい動きを把握するなどしてテロ活動を未然に防ぐこともできる。

 スポーツ観戦やコンサートでは、会場の観客はこれまで以上にスリリングなスポーツ観戦、コンサート鑑賞を楽しむことができる。例えばサッカーのゴールシーン。ゴールポストに設置したカメラから送信された、臨場感いっぱいの映像を観客は手元のスマホで楽しめる。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を送信することも可能で、コンサートではより凝った演出が行なえる。車を5Gでつなぎ、渋滞緩和に役立てることもできるだろう。

 5Gが経済分野で新たな市場を作り出すのは間違いない。

 その際、留意すべきことがある。かつて日本の規格やサービスが国外に広がらず「ガラパゴス化」して国際市場から排除された苦い経験がある。5G実用化に向け、世界的な規格統一などの作業は必須だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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