小泉チルドレン、小沢チルドレン、安倍チルドレン……。チルドレンというのは一人前ではない、親がいなければ何もできないという意であろうが、一丁前の大人をつかまえてバカにした言い方ではある。
だが、「維新の党」最高顧問・橋下徹大阪市長のチルドレンのひとり、「浪速のエリカ様」こと
上西小百合議員(31)の「国会サボってホワイトデー温泉旅行疑惑」(『週刊文春』4/9号、以下『文春』)を読むと、こちらが考える以上にチルドレンたちの質の劣化は著しいようである。
『文春』によると2回生議員の上西氏は2015年度予算案が衆議院を通過した3月13日、急性ウイルス性腸炎で3日間の静養が必要という診断書を出して欠席していた。
だが、前日には他党議員と飲み歩き(これは確認されている)、その翌日、上西氏は地元大阪へ向かっているのだが、「前々から、ホワイトデーに合わせて京都の高級温泉旅館で彼氏と一泊デートの予定を立てていた」(維新関係者)という話が出回っているのである。
その彼氏というのは49歳の公設秘書。橋下徹「維新の党」最高顧問はこの情報をすでに知っていたのだろう、4月3日の会見で「上西氏は辞任するしかない」と早々に言い切り、さっさと除名してしまったのだ。
だが、そんな「バカップル」(『文春』)に対して、彼女がこのまま議員に居座れば
毎年3000万円以上の税金が払われる。
衆院選が2年後になるなら、これから6000万円以上の血税を上西議員は受け取ることができるのだ。落ちることが決まっている次の選挙に出るはずはないから、彼女は何千万か貯め込み政界からトンズラする腹づもりであろう。
こんなとんでもない橋下チルドレンでも代議士センセイになれてしまう、いまの選挙制度に疑問を感じる人は多いはずだ。
彼女は2期目だが2度とも小選挙区では落ちて、比例で救われて代議士になっている。比例では、選挙民は
維新の会とは書いたが、上西とは書いていない。
その彼女が、党から除名処分になったのに居座る大義名分は何もない。即刻、議員辞職を求めるよう選挙民たちが動くべきだが、あまりのバカバカしく破廉恥な「行為」にあきれ果てて、そんな気も起きないのか。
『週刊新潮』(4/16号、以下『新潮』)は、今回の不祥事に対して橋下氏の決断が早かったのは、4月12日に投開票される地方選と5月17日に行なわれる都構想の是非を問う住民投票への影響を考慮してのものだと見ている。
だが彼の思惑通りにはいかず、上西問題勃発後の共同通信の「都構想の賛否」調査では、
反対が賛成を10ポイントも上回ってしまったそうである。
たしかに12日の地方選では思惑が外れ、勝つには勝ったが喜ぶところまではいかなかった。
「大阪維新の会幹事長の松井一郎・大阪府知事は12日夜のNHK番組で、神妙な顔つきで述べた。府議会(定数88)で42議席、大阪市議会(同86)で36議席を獲得。いずれも第1党を守ったものの、都構想賛成へ雪崩を打つ世論をつくれなかったためだ」(4月13日のasahi.comより)
この選挙では上西氏に2度も公認を与えた橋下最高顧問の責任も問われたに違いない。上西騒動の影響大だったようである。
さらに『新潮』は「ポンコツ」なのは上西氏だけではなく、橋下氏が選んだ「公募区長、校長、教育長」にはセクハラやパワハラ、モラハラを起こす連中が多く、
「不祥事のデパート」と言われていると書いている。
「橋下さんや維新の会の幹部は、
人を見る目がないということなんでしょう」(政治アナリストの伊藤惇夫氏)
たとえば元東住吉区長の和田智成氏は「他の区長に『無能』と暴言を吐き、2013年4月に更迭」
元東成区長の森伸人氏は「女性職員に『今から昼下がりの情事に(行く)』と大声で発言するなどのセクハラ行為で、14年3月、更迭」
元鶴見区長の都倉尚吾氏は「区発注事業の参加業者と会食したり、複数の業者と不適切な交際。14年3月、更迭」
元大和田小学校校長の大久保達巳氏は「PTAの現金約10万円を自宅に持ち帰ったことが発覚。その後『体調不良』で欠勤が続いていた。14年7月懲戒免職」
ここには書き切れないが、国会議員や府・市議会議員にも「ポンコツ」はいる。
2012年の衆議院選挙では4人の候補の運動員が公職選挙法違反容疑で逮捕されている。
井上哲也吹田市長は「12年10月、後援会関係者に市の事業を発注。後に、大阪維新の会の顧問を解任」
大阪府議の山本景氏は「14年8月、LINEで地元の女子中学生を恫喝(どうかつ)していたことが発覚」
大阪府議の橋本和昌氏は「12~13年度、架空のタクシー代約24万円を政務研究費として計上(後に全額返還)」
元堺市議の西井勝氏は「12年1月1日、飲酒運転中、バイクと接触事故を起こしながらそのまま逃げた容疑で逮捕」
これは氷山の一角、いやはやである。このところの橋下発言を聞いていると、政治の世界から身を引くことを考え始めているのではないかと思う。
一時は「総理候補」とまでいわれた橋下ブームも終わり、来月行なわれる都構想の是非を問う住民投票で負ければ、橋下チルドレンもろとも「維新の党」は消えてなくなるのではないか。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
今週は
女性ネタに絞って3本選んでみた。安藤優子、ダイアナ妃、米倉涼子、いずれがアヤメかカキツバタ、美も研も競って華やかに今満開(?)である。げに女というもの不可思議な生き物ではある。
第1位 「米倉涼子離婚決断」(『週刊文春』4/16号)
第2位 「『パパラッチ』の情報源は本人だった!!『ダイアナ妃』まさかの真実」(『週刊新潮』4/16号)
第3位 「『グッディ!』安藤優子『うちの犬のご飯は鯛』でお茶の間ドン引き」(『週刊文春』4/16号)
第3位。フジテレビの「ニュースの女王」
安藤優子が昼の情報番組『直撃LIVEグッディ!』に移ったが苦戦中だと『文春』が書いている。
その大きな理由が、
安藤とお茶の間の主婦たちとの「距離」だそうだ。3月31日の放送で「大型犬を散歩させる人のお宅拝見」というコーナーがあり、そこでの安藤のこの発言が視聴者も周囲もドン引きさせたという。
「ウチは、手作りなんですよ、ご飯は全部。(中略)普段は手作りで、ササミとかサーモンとか鯛とか食べてますよ」
私も犬になりたい。これでは茶の間のオバチャンたちに受けないのはよくわかる。
第2位。いまだに人気が衰えない
ダイアナ妃だが、『新潮』によれば、彼女が離婚した後にエジプト人の大富豪家、ドディ・アルファイド氏とクルーザーの上でキスしている写真を撮られたのは、ダイアナ妃からパパラッチ・カメラマンに電話がかかってきたからだと報じている。
なぜ彼女は情報を流したのか? 彼女は当時交際していたパキスタン人の外科医のほうに気があり、
彼の気を引くために写真を撮らせたというのである。
ダイアナ妃のような人にも「想うひとには嫁がれず 想わぬひとの言うまま気まま……」(島倉千代子の「この世の花」より)なんて気持ちがあったとは。
第1位。女優の
米倉涼子(39)が元リクルート社員で会社社長のA氏(37)と同棲を経て結婚したのは、『週刊文春』(15年1/1・8日号)が「2人の同棲」をスクープした発売日の翌日だった。
だがそれから3か月にもならない3月31日、スポニチが「米倉離婚も」と報じたのだ。
『文春』は、スポニチが報じる以前から米倉の取材を続けていたそうで、
離婚は確実、それも夫のモラルハラスメントが酷すぎるためだと報じている。
以下のコメントは米倉の友人Z氏で、米倉はテレビドラマで見せる、男たちをやり込める姿とは違って、素の彼女はとても気弱で、何か言われると「ごめんなさい」と跪(ひざまず)いてしまうタイプなのだという。
「彼は何でも否定から入るのだそうです。あるときは、彼がソファに胡座(あぐら)をかいて、彼女は床に正座させられて一晩中、五時間も説教をされるということもあったと聞きました。『お前が今まで付き合ってきた男に興味はないけどさ。お前は常識を知らない。付き合ってる人間も普通じゃない。そういう世界に生きてきたから変なんだ』と。そして『着てる服も変だ』『髪型も変だ』『爪も変だ』『バッグも靴も全部変だ』と、彼女の全てを否定し続けたのだそうです」
結婚を公表したとき、米倉はマスメディアに公開した文書でこう彼氏について書いていた。
「誠実で温かな人柄は私にとって大きな存在となり、尊敬できる大切なパートナーであることに気付かされました」
入籍してわずか5日後の大晦日、六本木のクラブでも、一般客もいる前でこんな騒ぎがあったそうだ。
「途中で酔った旦那さんが、何かの拍子に怒って、飾り付けのバルーンで彼女の頭を叩き出したんです。ふざけてじゃれ合っているだけだと思ったのですが、そのうち旦那さんが米倉さんの首を絞め出した。しかも、ひとりで怒って最後はどこかへ行ってしまったんです」
『文春』の記事を読む限り、なぜ米倉はこの男と結婚したのかわからないが、米倉の友人のY氏には、二人の関係が不安定だから彼も不安定なのかもしれない、結婚して私がいい奥さんになれば彼も変わるかもしれないと健気なことを言っていたそうだ。
全体に記事の作りは米倉寄りだ。視聴率がとれる女優だから、周囲も米倉が今度の離婚で傷が付かないように慮ってのことだろうとは思う。だが、そのモラハラ亭主が、仕事のために関西に移り住み、夜な夜な繁華街で、高級ラウンジやキャバクラをハシゴしている姿を見ると(『文春』が撮っている)、もはや二人の間が冷え切っていることは間違いないようだ。
『文春』に対して米倉の答えがそれを物語っている。モラハラについて質問すると、そのたびに「うーん」と苦しそうに唸るが
否定はしなかったそうだ。
「──辛かったですか?
『(頷いて)……うん』
──もうAさんには愛情がないんでしょうか。
『……うん』」
作家のモーリス・ルブランはこう言っている。
「女をよく言うひとは、女を充分知らない者であり、女をいつも悪く言うひとは、女をまったく知らない者である」
女をまったく知らない男と、男をまったく知らない女が出会った「喜劇」とでも言うしかないようだ。