2012年はイギリスにとって二つの重要なイベントがあった。ロンドン五輪ともう一つ、即位60年を迎えた女王エリザベス2世を祝う記念式典「ダイヤモンド・ジュビリー(Diamond Jubilee)」である。ロンドンで国会議事堂として使われているウェストミンスター宮殿の北側の時計塔「クロック・タワー(Clock Tower)」が「エリザベス・タワー」と改称するのは、これを記念したもの。長いイギリス王室の歴史で、在位60周年を迎えた王は現女王とビクトリア女王の二人だけ。ウェストミンスター宮殿で対となる南側の塔には、すでにビクトリア女王を称え、キングス・タワーを改称した「ビクトリア・タワー」の名が付けられている。
日本の報道では「ビッグベンがエリザベス塔に改名」との見出しが躍ったが、正確には「ビッグベン」とは時計塔にある鐘だけの愛称。そこから塔全体をさすこともあるが、今後も鐘自体をビッグベンと呼ぶことは変わらないと思われる。