2012年度の日本の国家予算90兆円のうち、約44兆円が国債で賄(まかな)われている。政治的な理由から長く増税を見送ってきたため、いまでは予算の4分の1が借金の返済に消えている。
いわゆる「消費税増税法」は、こうした借金依存体質から抜け出して、社会保障や教育に関する国の支払いを将来に先送りせず、現在の租税や社会保険料で賄えるよう、新たな財源を確保する目的で作られた法律。2012年2月に閣議決定された「社会保障・税の一体改革」の関連法の一つとして、「子育て支援」「年金・医療」「障がい者施策」などの改革を行なうのと同時に、その財源としての消費税の税率や引き上げスケジュールを決めたものだ。
消費税増税法が2012年8月に成立したことで、現在は5%(国4%、地方1%)の消費税が、2014年に8%(国6.3%、地方1.7%)に、2015年に10%(国7.8%、地方2.2%)に、と段階的に引き上げられる。増税にあたっては、その時の経済状況を判断するという付則がついており、食品などの生活必需品の税率を引き下げる軽減税率も検討されている。
だが、欧州諸国の付加価値税(日本の消費税にあたる税金)が20%程度なのに比べれば、日本の消費税は低い水準だ。超高齢化社会に突入し、財源確保が待ったなしのなか、税率引き上げの先送りには疑問を呈する声もある。
消費税は、低所得者ほど収入に占める生活必需品購入費の割合が高くなり、高所得者より税負担率が大きくなる逆進性も指摘されているが、集められた消費税は必要に応じて国民全体に再分配される。消費税そのものは逆進的でも、社会保障や教育などサービスを受けることで還元されるので、実質的な負担は軽減できるという見方もある。また、軽減税率は、どこからどこまでが生活必需品かの判断が難しく、業界の力関係によっても恣意(しい)性が働くため、導入は慎重に行なうべきだろう。