以前に「キモかわ=キモチ悪いがかわいい」という言葉が流行(はや)ったが、「ぶそかわ」は「物騒だがかわいい」という意味。女性が好む少々グロテスクなセンスの雑貨に対して使われる呼称だ。たとえば、手榴弾のかたちをしたドライバー。これぐらいならシンプルにおもしろいが、人体型をした爪楊枝ホルダーやナイフスタンドなどにいたっては、ぶすりと刺していく趣向がなかなかきわどい。
もともとインテリアという分野において、ブラックな表現は欧米で一定数の支持があるそうだ。たしかに、玩具店のハロウィングッズを見るにつけ、海外のホラー感覚はある種のポップさをともなっている。感性として万人に受け入れられないかもしれないが、いま、テレビなどメジャーなメディアで「不謹慎なもの」が過剰に避けられてはいないか。「雑貨」という、メーカーと使い手がアート感覚を共有できる分野で、個人として楽しむ「物騒」が支持を受けるのは興味深い。