半農半Xとは、暮らしのなかに農業を取り入れながら、自分が得意な仕事をしたり、社会のために活動したりする人々のライフスタイル。農業収入では食べていかれないので、足りない分を賃金労働で補うという兼業農家のイメージとはちょっと違う。
半農半Xの提唱者である塩見直紀(しおみ・なおき)氏は、その著書『綾部発 半農半Xな人生の歩き方88』(遊タイム出版)の中で、「持続可能な農ある小さな暮らしをベースに、天与の才を活かし、社会的な使命を遂行し、持続可能な社会のための問題解決をし、新しい文化創造をめざす生き方」と定義づけている。
Xの部分には、たんに所得を得るための労働にとどまらず、その仕事や活動を通じて環境問題に取り組んだり、地域の伝統文化を紹介したりして、社会のために積極的に自分の能力を活用していくことが求められる。
地方で大規模な農業をしていなくても、都会の片隅の市民農園や家庭菜園でも半農半Xは可能。規模に関係なく、土や生き物などと触れ合いながら、その人らしくていねいに暮らしていくのが半農半Xのコンセプトだ。
たとえば、歌手の加藤登紀子の長女、Yaeは、千葉県・鴨川で無農薬の野菜やコメを自給しながら歌手として活動している。