石原慎太郎氏(80)が10月25日に任期を2年半も残している都知事を突然辞任し、国政に打って出るために結成すると発表した新党。名称はまだない。
『週刊新潮』(11/8号、以下『新潮』)に「『石原総理』なら譲らない『反米』『反中』『核武装』」と書かれたように、ウルトラ・タカ派。「これを全部実現したら日本はきっと『別の国』になってしまう」と保守派の『新潮』までが危惧している。
石原氏は考え方の近い平沼赳夫(たけお)氏の「たちあがれ日本」(以下「たち日」)と組むことにしたため、第三極の柱として期待している「日本維新の会」(以下「維新」)の橋下徹氏から、石原さんだけならいいが「たち日」とは組まないと断言されてしまった。
果たして「維新」との大連合はできるのだろうか。週刊誌も見方が分かれている。
親・橋下派の『週刊現代』(11/10号)は「橋下徹は石原と組まない」とバッサリ。『週刊朝日』(11/9号)も「石原慎太郎ひとりぼっちの決断」のなかで、「橋下維新とは調整不足」と見ている。
反対に『週刊ポスト』(11/9号)は「石原慎太郎80歳『国政への特攻』の大博打(ばくち)」で、今度の総選挙に橋下氏は出ないと読む。代わりに石原氏が国政改革の先頭に立ち、総理を一期やって橋下氏に譲るというシナリオではないかと見ている。
『週刊文春』(11/8号、以下『文春』)は、どうしても橋下「維新」と連携したい石原氏が主張を全面的に変えると見る。その理由は、可愛いい落選中の三男・宏高(ひろたか)氏を次の選挙で当選させたいからだと、「維新」の関係者のこんな話を紹介している。
「今年の四月に大阪市内のホテルで、石原氏と橋下氏が会っていますが、このときに、石原氏は『維新の東京代表に宏高はどうか』と打診しているんです」
たしかにここへきて「小異を捨てて大同団結」と言い出している。だが、消費増税賛成、TPP不参加、原発に至っては以前、「原子力の活用を一度の事故で否定するのは、ひ弱なセンチメントに駆られた野蛮な行為」といって切り捨てた。石原氏と「維新」の間には、政策的「大異」がありすぎると思うが。
前途不透明な石原新党だが、あの歳で国政に出ることを決意した石原氏だから、幾通りかの筋書きを描いているはずである。私見だが、最終的には「たち日」グループとギクシャクしても、橋下「維新」とある程度の妥協をして手を結ぶのではないだろうか。傘寿(さんじゅ)の挑戦の結末やいかに。