日本人が長生きなのは「魚を食べる文化だから」ということは、過去のデータから異論がないようだ。ところが昨今、「魚離れ」が進んでいるという。2006年に肉類と魚介類の摂取量が初めて逆転。2009、2010年とますます肉類との差が広がった。「ヘルシーな和食」の根幹を揺るがす状況に、2012年水産庁が打ち出したのが、官民一体となって水産物の消費拡大を促そうとする「魚の国のしあわせ」プロジェクト。その一環として、「ファストフィッシュ」なるブランドの選定が行なわれている。
 選ばれる基準のキーワードは「手軽」と「気軽」。中骨を抜いた、もしくは骨ごと食べられる魚や、温めるだけのレトルト感覚の加工品など。いずれも、料理をする際の処理が面倒、というイメージを払拭するような商品や食べ方である。初回の選定品目は8月から店頭に並び、なかなか好調。これを受けて企業の新たな選定応募も殺到している。魚をさばく家庭の文化も愛おしいものだが、まずは魚離れを食い止める活発な動きに注目したい。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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