スポーツ紙で目を引く見出しを見つけた。「育爺減税」。祖父母が孫に教育資金をまとめて送った場合の贈与税を非課税とする措置のことだ。安倍政権が1月にまとめた緊急経済対策の目玉として創設した。編集者の巧みなネーミングだろうが、その本質は「育爺」とはあまり関係がない。
非課税とするのは孫一人あたり、最大で1500万円まで。2013年4月から3年間の時限措置である。祖父母から贈られたお金は、教育以外の目的に使われないようにするため、信託銀行などに孫名義の口座を作って使い道を管理するという。
緊急経済対策に組み込まれたのは、景気浮揚を狙ったからだ。ターゲットは「タンス預金」。金融機関に預けられず、家庭などで保管された民間資金のことで、総額は30兆円とも40兆円ともいわれ、その多くを高齢者がため込んでいるという。こうした眠った資金を掘り起こすことで、景気を刺激しようとする算段だ。祖父母の資金援助があればその分、父母は教育以外の買い物をして消費が伸びる。
子育て支援という名目もあってかメディアには好評だが、「金持ち優遇だ」との批判もある。