2013年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行される。同法の改正により、企業に対し「希望者全員の65歳までの雇用」を義務づけることになった。雇用延長の方法については(1)定年引き上げ(2)定年廃止(3)継続・再雇用、の3つがある。
法改正の背景には、2013年度から25年度にかけて厚生年金の支給年齢が現行の60歳から65歳まで段階的に引き上げられることがある。現行の「60歳定年」だと、年金も賃金もない無収入の「空白期間」が5年間も生ずるため、65歳までの雇用の確保が求められるわけだ。
老後のことを考えるとほっとする措置だが、しわ寄せも。
まず、企業が高齢者の雇用延長で、新卒採用を抑制することがある。非正規の若年労働者の増加が問題になっている中で「世代間対立」が改めて顕在化しそうだ。
また、60歳以上の高齢者を再雇用・継続雇用にすることで、企業はその分、人件費負担が増えることになるが、その原資は50歳代以下の賃下げで対応することになる。みずほ総合研究所の試算によると、再雇用者増加による人件費増は、13年度で0.4兆円、25年度で1.9兆円という。
賃金制度の見直しは、2013年春闘の争点の一つになりそうだ。