ぶぶづけといえば、ご飯に熱い湯をかけたお茶漬けのことであり、落語の演目「京の茶漬け」ですっかり有名になった、長居の客に帰宅を促す暗示のようなものでもある。京都だけでなく、関西では広くぶぶづけといったり、おぶづけと呼んだりしている。
「ぶぶ」ということばは、お茶漬けの「お茶」の代わりで、単にお湯を意味する幼児語「おぶ」の方言だと思い込んでいた。けれども、京都のぶぶづけとは、実はそういう解釈とは違うらしい。
ある料理店の主人から聞いた話であるが、「ぶぶづけ=お茶漬け」と簡単に理解しては困るという。「ぶぶ」というのは、「おぶ」とは違い、お茶漬けを冷ますため、口でふぅ~ふぅ~と吹いているときの音から派生した擬音語なのだという。だから、ぶぶづけといったら、冷まさなければ食べられないほど、熱々のお茶やお湯をかけたお茶漬けをさしているというのである。逆に「おぶづけ」の場合は「おぶぅ」ともいい、飲みごろの状態のお茶やお湯を意味することばなので、ぶぶづけよりぬるめのお茶漬けになるという。
寒い季節のお茶漬けなら、熱々を冷ましながら食べたいものである。塩昆布やつくだ煮、数々の漬け物、魚介の甘煮やだし巻きなどのおばんざいと組み合わせたり……。京都のぶぶづけは食べ方がとても豊富である。