尖閣諸島問題など中国の海洋進出が活発化する中、自民党内で海兵隊構想が持ち上がっている。言い出しっぺは石破茂(いしば・しげる)幹事長。昨年秋の自民党総裁選では「海のある国は持っている。日本だけが持たなくていいのか」とアドバルーンを上げた。総裁選では安倍首相も同調。「もし島が占領されたら、兵隊を送る部隊を持つべきでないか。陸上自衛隊に置いてもいい」と応じたのだ。
海兵隊は、洋上からの上陸、空からの空挺作戦が主任務の部隊だ。米海兵隊がよく知られる。想定されるのは、陸上自衛隊に海兵隊機能を持つ部隊を創設することだ。陸上自衛隊は昨年、米領グアム島などで行なった日米共同訓練で、米海兵隊から島の奪還を想定した上陸訓練の伝授を受けた。防衛省は2013年度予算案で水陸両用車4両の購入経費を計上(25億円)した。
海兵隊構想の実現にはハードルがある。上陸作戦が国の国是である「専守防衛」にそぐわない、とする考え方があるからだ。
政権復帰以降、「慎重運転」の政権運営に徹する安倍自民党は「海兵隊構想」を引き出しの中にしまったようだが、夏の参院選で勝利すれば「海兵隊構想」が表に出てくる可能性がある。