親世帯と結婚した子どもの家族が一緒に暮らすために、一軒の住宅にそれぞれ独立した玄関や台所、風呂などを備えたり、その一部を共用した2世帯住宅。これに、結婚の予定のない成人した未婚の子ども(子ども世帯の兄弟姉妹)も一緒に暮らすことを想定した住宅モデルが2.5世帯住宅だ。住宅メーカーの旭化成ホームズが発売したもので、未婚の子どもは30代後半のキャリア女性をイメージしているという。
女性の社会進出、結婚観の変化などによって、生涯未婚率は上昇している。総務省の調査によれば、親と同居している35~44歳の未婚者は、2003年に191万人(同年齢人口の11.7%)だったのが、2010年には295万人(同年齢人口の16.1%)となっている。
2.5世帯住宅は、こうした社会状況に着目し、多世帯同居を前向きにとらえた新しい住宅形態だ。しかし、親と同居している人の労働状況を見てみると、多世帯同居には複雑な事情も垣間見える。
じつは、親と同居している35~44歳の未婚者は失業率が非常に高い。2010年の35~44歳の完全失業率は4.8%だが、これを親と同居している人に絞ると一気に11.5%まで上昇する。つまり、好んで親と同居している独身貴族というよりも、単身者にとっては経済的な事情から独立できず、行き場がないために仕方なく親と同居しているというのが本音ではないだろうか。