政府の産業競争力会議で議論している雇用改革の一つで、企業がお金を払って社員を解雇できるようにする制度のこと。3月6日にもたれた同会議の「雇用制度改革」分科会第1回会合で、その創設が中心議題となった。
従来、「雇用維持」に力点をおいてきた我が国の労働政策にとしては大きな転換といえる。狙いは労働市場の流動化だ。
現在、正社員の雇用は労働契約法や判例で厳しく守られている。そのため、企業は経済環境に柔軟に対応すべく、正規社員の雇用を避け、契約社員やパート、アルバイトで賄(まかな)おうとする。これが、金銭を払って解雇できるようになれば、企業としては正社員を雇いやすくなるという理屈だ。
金銭解雇ルールには、労働力を流動化させ、成長産業への人材流入を図る狙いもある。「経済成長のためには、生産性の低い産業から生産性の高い産業への労働移動を促進していかなければならない」(同会議資料)からだ。
もっともサラリーマンからは「企業の都合で、整理解雇されてはたまらない」といった悲鳴が聞こえてきそうだ。