リーマンショック後のアメリカで、「マンセッション(mancession)」という言葉が流行した。男性の失業が女性よりも深刻な状態をさす、man(男性)とrecession(景気後退・不況)の合成語だ。2012年には永濱利廣(ながはま・としひろ)氏の著書『男性不況── 「男の職場崩壊」が日本を変える』(東洋経済新報社)が上梓 、「男性向き」とされてきた仕事が減った状況が、日本でも認識されつつある。
ここでの「男性向きの仕事」の例として、製造・建設業が挙げられることが多い。日本企業の生産拠点の多くが海外に移ったことで、男性は雇用を奪われた。そもそも、時代が製造業からサービス業へのシフトを求めているといえる。また一方では、女性が活躍する医療・福祉分野などでの需要は増すばかりだ。昨今の男性は「草食系男子」などと茶化されるが、労働力としても相対的に旧来型の「男らしさ」を失いつつあるのである。
「家計の中心」は男女どちらでもよい。だが、男性不況が進んだあげく、女性の厳しいお眼鏡にかなう結婚相手が見つからず、さらなる少子化につながるといった指摘もある。