ロシアの投資家ユーリ・ミルナー氏が音頭を取って、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグ氏、Google創業者のサーゲイ・ブリン氏といったIT分野のドンたちが結集、難病治療など人命に寄与する分野に関する賞を設立した。正式な名称は「Breakthrough Prize in Life Sciences(生命科学のブレイクスルー賞)」。歴史上の権力者たちが、不老不死の妙薬を世界に求めたような、ロマンのある話ではないだろうか。特筆すべきは、賞金が各受賞者に300万ドル(約2億8000万円)であること。これは、ノーベル賞の実に倍以上の額なのである。

 初回の2013年は、ガン研究で著名なロバート・ワインバーグMIT教授、iPS細胞の山中伸弥教授ら11人が受賞した。2014年以降は毎年5分野から選考することになっている。ノーベル賞級の研究対象でありながら、あまり世界的には知られていないものを選ぶ方針というから、周囲の無理解に苦しんできたこの手の研究者も報われるような話だろう。賞を運営する財団の理事長には、アップル会長のアーサー・レビンソン氏が就いた。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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