日本語に直訳すると「かっこいい日本」である。言い出しっぺはアメリカ人ジャーナリスト。2002年に雑誌で「日本のアニメやマンガ、JPOPなどが世界で人気だ」と紹介したことがきっかけで、注目されるようになったという。
実際、日本発のコンテンツは海外で人気がある。ただ、ビジネス的には稼げていないのが実情だ。そのため、日本政府は「クール・ジャパン戦略」を推進し、その売り出しに乗り出している。
アベノミクスを推進する安倍政権でも、医療や農業などと並ぶ新成長戦略の一つと位置づけ、稲田朋美行政改革相に「クール・ジャパン戦略相」を兼務させた。推進会議も発足し、13年度予算案に、クール・ジャパン推進のための基金創設として500億円を盛り込んだ。
お手本は韓国だ。韓国ドラマやKポップ歌手の海外公演などによる2011年の文化関連産業の収入は、約8億ドルと、過去最高を記録した。韓国政府は90年代からコンテンツ産業の育成に取り組み、資金面などで国を挙げて支援してきた経緯がある。韓流の浸透は、韓国製品を売り出すための橋頭堡(きょうとうほ)の役割を示した、ともいえる。
世界の文化産業全体の市場規模について、経産省は「2020年時点で900兆円以上」と推計する。巨大市場である。日本はクール・ジャパンの振興にこれまで以上に本腰を入れるべきだ。