「面積を2等分して解決した経験がある」
4月29日の日露首脳会談で、領土問題に絡み、ロシアのプーチン大統領がこう言及し、波紋を呼んだ。大統領が言う「経験」とは、中国との領土交渉やノルウェーとの境界画定交渉がそれぞれ「面積を半分ずつ」にしたことで、長年の交渉に終止符を打ったことを指す。
大統領の発言について、日本政府は「対中、対ノルウェーとの領土交渉を説明する際の話で、北方領土交渉と直接絡めた話ではない」としているが、大統領の意図は明らかだ。
北方領土交渉をめぐって大統領は、2012年3月に北方領土交渉に関して「引き分け」を目指すと発言、「引き分け」の意味については、今年2月の森喜朗元首相との会談で「勝ち負けなしの解決だ」と説明した経緯がある。その具体策が「面積等分」方式ということだろう。
北方領土の総面積は5036平方キロメートル。千葉県や福岡県の面積に相当する。仮に二等分すると、歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島の全部と、択捉(えとろふ)島の西部4分の1程度を日本が領有する形になると見られている。
実は「面積等分」方式は、日本側でも言及した大物政治家がいる。麻生太郎副総理である。麻生氏は外相当時の2006年、国会答弁で「面積等分」論を開陳したことがある。大統領の「面積等分」発言はそうした日本側の足元を見たうえでのくせ球だ。
「面積等分」方式について日本国内の世論は、「妥協だ」「あくまで4島返還を目指すのが筋だ」などと批判が根強い。