キッチン家電は多様化の時代を迎えた。機能的なだけでなく、野菜・果物の栄養を引き出すベクトルを向いているのは、昨今の健康志向を反映しているだろう。注目株は低速ジューサー、ないしスロージューサーと呼ばれるジューサーだ。ゆっくりした回転で食材を圧搾(あっさく)する仕組み。繊維部分と液体が分離されていく様子は、ミニ工場のようでちょっと楽しいかもしれない。
いまや美容と健康を語るうえで欠かせない「酵素」の存在は、低速ジューサーの価値を高めている。食材を高速回転する刃がすり下ろすタイプのジューサーは、摩擦で熱が発生する。熱は本来なら食材に含まれている酵素を壊してしまうらしいのだが、低速ジューサーにはその心配がない。また、皮も搾(しぼ)るので、果肉と皮の間に集中しているという栄養素も十二分に活かすことができる。単に食材を加工するだけでなく、よく研究されているというか、いまどきの家庭用ツールのレベルに脱帽だ。