2013年は、伊勢神宮が20年に一度迎える「式年遷宮」の年。神殿を造り替える重要な儀式だ。これに照準を合わせるかたちで開発され、3月21日に運行が始まった近鉄の観光特急が「しまかぜ」である。大阪難波(なんば)駅、近鉄名古屋駅と伊勢志摩の賢島(かしこじま)駅を結んでいる。かなりの話題と人気を集め、切符は完売状態が続いた。
「しまかぜ」の先頭と最後尾の展望車両は、開放感のある6面のフロントガラスで構成されている。運転席越しに見渡す景色はすばらしい。また、カフェ車両は近鉄伝統ともいえる2階建てで、全席が窓向きだ。眺望だけでなく、「鉄道車両として初」をうたうエアクッション付きのシートも魅力である。これだけプレミア感があると、多少料金が高くとも鉄道ファンはご満悦。開発時には「ただの移動手段ではなく、移動そのものを楽しんでもらう」というコンセプトがあったが、それがうまくはまったかっこうだ。