待機児童とは、文字通り保育所の入所を待つ児童のことをいう。厚生労働省の統計によると、2012年4月時点で、都市部を中心に全国で2万4825人を数える。
政府は6月にまとめる新成長戦略に「待機児童を2017年度までに解消する」と明記する方針。従来は「19年度までにゼロを目指す」としていたが、これを2年前倒しする。今後40万人分の保育施設をつくるという。
政府が目標達成に向けならおうとしているのが「横浜方式」だ。具体的には(1)補助金を手厚くするなどして民間企業の参入を促進、(2)市独自の基準で認定する「横浜保育室」の運用、(3)保護者の相談に乗る「保育コンシェルジュ(相談員)」の配置など。
2010年には全国ワースト1位の1552人の待機児童を抱えていた横浜市だが、こうした措置により、2013年4月に「待機児童ゼロ」を達成した。たった3年である。
ただ、横浜市の「待機児童ゼロ」には、「カラクリ」を指摘する向きもある。認可保育所を希望しても入れず、結局、認可外の保育所に入ったり、親が育児休業を延長したりした場合などは「待機児童」に含まれない、というのだ。こうした潜在的な待機児童が、実は1746人もいるという。メディアの多くもその点を課題だとして指摘している。
政府も「待機児童ゼロ」を目指すなら、そうした潜在的な待機児童もカウントしたうえでのゼロにしてほしいものだ。