5月12日、警視庁が一般公募していた「振り込め詐欺」に変わる新しい名称が、「母さん助けて詐欺」に決まった。

 息子や孫になりすまして電話をかけて、高齢者などからお金をだまし取る「オレオレ詐欺」が増え出したのが2003年。その後、税金や年金などが戻るとだます「還付金等詐欺」、有料サイトなどの料金支払いを装ってお金を請求する「架空請求詐欺」なども発生。お金をだまし取る手口が、銀行のATMを操作させて振り込ませるものだったため「振り込め詐欺」と呼ばれた。

 しかし、振り込め詐欺の被害が周知されてきたこともあり、最近は、現金を直接受け取りにくる手口が増えてきている。たとえば、子どもや孫を装って「電車の網棚に、会社の小切手の入ったカバンを置き忘れた。今日中に支払いをしないと会社をクビになってしまう」といった電話をかけ、「友人がお金を取りにいくから渡してくれ!」というものだ。

 詐欺の被害にあった人は「自分だけは引っかからない」「まさか、自分がだまされるとは」といった感想を口にする人が多い。自分の子どもの声は絶対に聞き分けられると思っているが、いざとなるとパニックになり詐欺に引っかかってしまっている。

 「自分だけは大丈夫」という過信は怖いので、子どもや孫を名乗る人からお金を請求される電話がかかってきたら、ひとりで判断せずに、誰かに相談するようにしたいもの。

 警視庁では、都内の高齢者世帯に対して、「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます」という警告メッセージが流れる、自動通話録音(警告)機を無料で貸し出している。設置を希望する場合は、最寄りの警察署に問い合わせてみよう。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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