日本食が世界でブームらしい。ただし、日本食イコール「和食」とはかぎらない。たとえばラーメンだ。ニューヨークでは、人気店「博多一風堂」が進出してブレイクを果たした(海外には「すする」という習慣がなく、麺の長さを短くしたとか)。独特のラーメン文化はアメリカの食いしん坊たちに受け入れられ、いまや大都市の多くに行列店がある。よもや外国人が並んでまでラーメンを食べる時代が来ようとは。食文化は国境を越える。
こうした動きは、アメリカの人気店が日本に「逆輸入」されるというユニークな状況を作り出した。2013年4月、「新横浜ラーメン博物館」にお目見えした「IKEMEN HOLLYWOOD(イケメン ハリウッド)」は、つけ麺の「ジョニーディップ」などハジけたネーミングセンスで驚かされるが、味のほうはいたって本格派である。オーナーの川端康正(かわばた・やすただ)氏は、若き頃の留学経験から現地の日本食に幻滅し、アメリカナイズされない味にこだわったという人物。中村栄利 (なかむら・しげとし、名店「中村屋」で業界の寵児に。湯切りの動き「天空落とし」も話題となった)氏らと2011年に立ち上げた同店は、またたく間に西海岸界隈に豚骨系という「アメリカ人の知らない味」を広めるに至った。日本人という民族が、世界中を巻き込んでラーメンにかける情熱に乾杯だ。